【テイルズオブアライズDLC】評価・プレイした感想|本編トロコンまで遊んだ筆者による本音のレビュー【Beyond the dawn】

テイルズオブアライズDLC(ビヨンドザドーン)の、Game8攻略班ライターによる評価・感想です。

※一部ネタバレを含むため閲覧の際はご注意ください

みんなの評価

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テイルズオブアライズDLCの評価・感想

本編以上にストーリー重視で作られたDLC

新規スチル

▲DLCのメニュー画面は新規イラスト。最初はアルフェンたちと一歩距離を置いていたナザミルだが……

2023年11月9日(木)、テイルズオブアライズの大型DLC「Beyond the Dawn」が発売された。約2年前に発売された本編・テイルズオブアライズの全世界販売数は270万本を突破しており、筆者自身も本編は気に入ったためトロコンまで遊び尽くしたものである。

そのため今回のDLCも楽しみにしていたが、結論として「Beyond the Dawn」は物語を楽しみたいキャラクターファン以外にはややおすすめしにくい内容だった。本編と比較してあらゆる要素に変化がほぼないため目新しさが薄く、価格や本編発売から期間が開いている点を踏まえると、どうしても物足りなさを感じる。およそ10〜15時間ほどのプレイ時間を体験的価値の高いものに仕上げられているかは評価の分かれるところだろう。

ではストーリーはどうかといえば、直接的な言葉を使いすぎているためシナリオに奥行きや考察の余地があまりなく(本編にもそういった傾向は見られたが)、さらに仲間たちの言動に違和感を感じる部分が多少あった。戦闘周りのシステムは一切変化なし。特にナザミル戦では相手がやたらと動き回るため、バトルの爽快感のなさに拍車をかけている。ナザミル以外の敵は焼き増しで変わり映えしない。ブーストストライクや秘奥義に新しいパターンを追加してほしかったと思うが、それすらもなし。アクションやバトルを重視するプレイヤーには悲しいお知らせである。

このDLCが本編発売から半年〜1年程度で出るならいい。しかし2年経っているのだから、失った熱を呼び起こしてくれる要素がもっと欲しかった。スキットなどの会話や掛け合いは新しいものが追加されているので、本編以上に物語メインで作られていると感じた。さしずめ劇場版テイルズオブアライズといったところか。

本編を発売日直後に遊んだプレイヤーからすれば期間が開いているため、やたらと新要素を増やすとかえってとっつきにくくなる恐れも確かにある。筆者も操作を思い出すところからのスタートだった。しかし、せめて視覚的に新しさを感じさせてくれてもよかったのではないかと思う。税込3,960円払っているわけだし。

一方で、良かった点はサブクエスト。サブクエストは全体的に本編に近い雰囲気なので、メインストーリーだけでなくサブクエストやスキット、チャット会話も重視するキャラファンならきっと「こういうのでいいんだよ」と楽しめることだろう。ナザミルが関与しない物語のほうが楽しみやすいものに仕上がっていたのはなんとも悲しくはあるが……。

もし購入する場合はまっすぐストーリーだけを攻略していくのではなく、サブクエストも並行して進めてみてほしい。

ナザミルを通して体験させたかったであろうこと

ナザミル

▲エンディングでのナザミルの様子を見ると、クリア後は使えるようにしてほしかったとつくづく残念に思う

肝心のシナリオに対する感想だが、この項はネタバレを多く含むため未プレイの方は飛ばすことを推奨する。

まず本編と比較して今回のストーリーは蛇足感が強く、はっきり言ってあまり意外性のないものだった。アルフェンの英雄ゆえの苦悩や、何も知らないゆえの愚かな民衆の描写は良かったが、思わず首をかしげてしまう場面も。たとえばアルフェンが炎の剣を振るって民衆に積み重なった怒りをあらわにする場面では、なぜ最後まで仲間たちが止めに入らないのか違和感を覚えた。

あくまでも個人の感想だが、このDLCは、ナザミルというキャラクターを好きになれるかどうかにかかっていると思う。

外界から隔絶されて育ったナザミルは世間を知らず、他者との関わり方も知らない。今風に言えば「毒親」のもたらした弊害である。孤独が当たり前だったナザミルに生まれて初めてできた友達がアルフェン一行だ。アルフェンたちの優しさによってナザミルの心の氷は少しずつ溶けてゆき、やがてナザミルはアルフェンたちに喜んでもらいたい一心で、人々を巻き込んで理想の世を作ろうとする。

ナザミルを中心に進んでいく物語の背景にはレナ人とダナ人の互いへの消えない差別感情があったが、物語が進みナザミルの行動により自分たちの状況がひっ迫すると、協力して助け合う姿がちらほら見られるようになる。ナザミルは誤った方向に進んでいるのに、人々は正しい方向に向かっていたのはなんとも皮肉なありさまだった。

ナザミルがああなってしまったのはアルフェンたちの温かさを知ってしまったからで、純粋すぎるゆえのこと。そんなナザミルのデリケートな心にアルフェンたちが安易に踏み込んだから、世界に危機が及ぶまでの事態に発展してしまった。そこで誰ひとりとしてナザミルを見捨てず責任を持ち、救うことに命をかけたのだからアルフェンたちは立派だと思う。DLCでますますアルフェンたちの魅力が増したと言える。

しかし一方でナザミルはというと、他者への依存心が強すぎて少々わずらわしく感じてしまう。精神的にはまだ子どもだし、過酷な生い立ちに由来するところとわかってはいるが、感情的すぎてどうにも自分勝手なので、救いたい、放っておけないと感情移入することがいまいち難しかった。いっしょに戦うことはなく、ストーリーで離脱している期間も長く愛着があまり湧かないため、アルフェンたちと同じ気持ちにはなれなかった。

この物語はアルフェンたちに共感するためのものではなく、ナザミルに自身を投影し、孤独から救い出すためのものではないかと感じた。

違いとは消すものではなく互いに認め合うべきもので、私はただ在るだけでいいというメッセージ性は優れていたと思うが、そこに至るまでの過程はもう少しなんとかならなかったものか。ナザミルに仲間たちが熱く魂を込めて訴えかけるほど、ぽっと出のキャラに対してどうしてそこまで……と冷めた視点で見てしまう。また、ナザミルは強いとはいえ、目を覚ましてほしいとはいえ、友達をみんなでボコボコにするのはあまり気持ちのいいものではなかった。

まあ終わりよければすべてよし、最終的には前向きに締めてくれたのはよかった。しかし、せっかく苦労して友達を取り戻し、やっとナザミルに愛着が少し湧いてきたところで物語は終わってしまい、お別れになってしまう。あんまりでは。クリア後にナザミルがプレイアブルになってくれることを期待したが、そういった要素は特にない。解散。

スキルパネルは一から振り直し

ボーナス

▲トロコン済データで上記のボーナスを入手できた

「Beyond the Dawn」は、本編のデータとは引き離されて独立している仕様だ。そのため、レベルは本編の進行に関わらず65からスタートだが、スキルパネルはなんとイチから振り直しである。なぜこのような仕様になったのか。本編で積み上げたものを戻されて再び積み上げさせられるというのは、育成が好きなプレイヤーでも思うところがあるのでは。

本編で取得した分は引き継ぎ、新しいパネル追加でよかったのではと思う。本編発売から2年以上の時が経っているので、どのスキルや術技が強かったのかもほとんど忘れてしまった。テイルズオブ轟覇斬だったことしか覚えていない。

ストーリーの進行状況に関わらず楽しめる仕様は一見親切だが、物語自体は後日談でストーリーをクリアしている前提の内容だったため、あまり意味のない仕様に思える。本編を遊んだのが完全に無意味になるわけではなく、一応は画像のように状況に応じたボーナスを獲得して始められるが、少なくとも難易度ストーリーならボーナスなしだと厳しい内容では決してない。

物語を重視する方針なら明らかに本編未クリアのプレイヤー向けではないと思うが、未クリアのプレイヤーでも同じ位置から始められるようになっている。どの層へ向けたものにしたかったのかよくわからないし、やはり本編のクリアデータでそのまま遊べる内容にしてほしかったというのが率直な感想だ。

結論:結構なファン向け作品だと思って購入がおすすめ

アライズDLC

▲発売直後に遊びたいというこだわりがなければ、DLCはセールを待つのがおすすめだ

というわけで「Beyond the Dawn」は、税込3,960円という価格には少々見合わない内容だった。個人的には、価格に対しこのボリュームは物足りないと感じる。3,960円あれば安めのソフトが1本買えるのだから。本編と変わらなさすぎる戦闘面(主に敵)や良くも悪くもなシナリオ、ゲーム性における評価は微妙なところだ。2,000円程度なら良いものだったが、値段相応の価値を求めるコスパ重視プレイヤーのお眼鏡には叶わないだろう。

より正確にいうと、値段自体は問題ないのだ。昨今のゲームタイトルの開発費を考えれば、むしろ今までのゲームの値段が安すぎたとも言える。ではなにが問題なのか。それは、価格に見合った充実感を得られなかった、という点に尽きる。そうすれば、ちょっとお高めのDLCだけど、内容はかなり満足できたよね、というようなものになっていたはずだ。

とはいえ、テイルズオブアライズの世界観やアルフェンたちの掛け合いを再び楽しめるのは、ファンにとっては非常に嬉しいもの。特に、ラストバトルで本編の初期OPのBGMが流れるのはかなり胸熱展開と言える。

幸い、これからプレイするユーザーにとっては同梱版もあるので、値段の開きなどがそこまで通常版となければ購入はおすすめできる。そして仮にDLCを購入してもしなくても、これを機にEX NEW GAMEで本編を再びプレイしてみるのもいいだろう。再三になるが、発売から2年以上が経っているのだから、かつて遊んだプレイヤーでもストーリーをそこそこ忘れているはずだ。改めてアルフェンと仲間たちの出会いや友情を体験し、テイルズオブアライズの世界に浸ってみてはいかがだろうか。

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コメント

12 名無しさん

本編が良かっただけに残念に見える内容のDLCだった。 2000〜1500円くらいの時に買うのをオススメします

11 名無しさん

最近やり始めたけど、データ引き継ぎできない時点でだいぶ萎えた… 他の人も言ってるけど強いアクセサリーがすぐに作れなかったりね。 戦力ダウンし過ぎてて、また育成しなおしか…って。

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