『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』評価レビュー|理不尽な物語の勇者様

ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団

ようこそ、夕闇劇場へ。
これより始まりますは、奇想天外摩訶不思議。
奇怪な書物を中心に繰り広げられる、奇妙な冒険譚。
そこにあるのは、幸福か不幸か、生か死か。
それは、その目でごらんあれ。
……では皆様。
なにとぞ、最後までお付き合いくださいますよう。
それでは、はじまりはじまり。

ゲームシステムの紹介

ルフラン
本作のジャンルはダンジョンRPGです。『Wizardry』『世界樹の迷宮』と同じようなジャンルですね。マス目状に区切られたマップを探索して、時にモンスターと戦い時に宝箱を拾い、奥へ奥へ進んでいく……というのが基本です。探索が特に重要なジャンルなのですが、本作はダンジョンの壁を破壊できます。文字通り破壊して、扉を開けるのに必要な鍵の入手をすっ飛ばして先に行ける場面もごく一部あります。それで良いのかって話ですが、こういう常軌を逸したシステムがあるのは流石だなといった感じ。

それ以外は普通のコマンドRPGなんですが。

……もしあなたが本作の購入で迷っている未プレイの人であれば、本項は読み飛ばして構いません。恐らく読んでも理解できないでしょうし、無責任と思われるでしょうが理解してもらおうと思い書いているわけでもありません。

なので、本項の内容を簡単にまとめました。以下の要素をなんとなく理解さえしてもらえれば問題ありません。

  • ゲームバランスが極端
  • システムが複雑かつ分かりにくい
  • 用語も複雑かつ分かりにくい
  • UIも使いにくく一覧性も低い
  • 序盤が特に退屈であり不便
  • 悪魔的やりこみ要素あり(いつもの)

何故読み飛ばしてもいいのか。答えは簡単。本作を語る上で、ゲーム部分はそれほど重要ではないからです。重要な部分は物語です。物語部分についてはこちら▼

歪なバランス

ルフラン
日本一ソフトウェアのRPG系統の作品って、どれもユニークな仕様を用意してくれるんですよ。他の同ジャンルには中々ないような、思い切ったシステムが導入されています。ちょっと捻ってたり、なんなら変だったり。しかも複雑だしってことも珍しくありません。

まあただ、「こういうシステムを用意したから上手く活用して有利にゲームを進めてね」ってゲームルールを紹介されるもんだから、プレイヤーもそれに従って少しずつ理解を深めていくわけです。で、ゲームに慣れてきたであろう中盤から終盤くらいになると、「じゃ、いまからそのシステムぶっ壊しま~すw」って感じの要素が追加されるんですよ。正しくは、「実は数値の暴力でほぼ全部解決できちゃうぞっ」ってことが明かされる。というかプレイヤーが気づかされる。

これ自体は好みだと思います。良く言えば、どんな見た目どんなキャラでも最強目指せますよって話ですからね。ただ悪く言うならば、どんなにパワーバランスが変でもいいってことです。だって誰でも最強になれるんだから。でもそれは最終的にという話であって、ストーリー進行中の段階では露骨に歪なバランスに振り回されることになります。

結論を言うと、本作はドナムゲーです。魔法ゲー。ドナム(魔法)の火力が明らかにおかしくて、他の火力職の役割を食ってます。

ドナムゲー

ルフラン
本作は全6種+隠し2種のファセット(クラス・職業みたいなもの)が用意されています。このうちの1つ、マージナルメイズが恐らく火力最強です。いわゆるメイジとか魔法使い的ポジションのファセットですね。

ファセットにはそれぞれパッシブスキルが存在しており、うちドナムマスターと呼ばれるスキルが恐ろしいくらい火力に影響します。ドナムの威力を+13%するというだけの効果なんですが、これがなんとカヴン(編成)全体に作用してしまうんですよね。サポーターにいても効果を発揮するので、最大8人のカヴンにドナムマスター持ちを8人採用するだけで104%もの火力増強を見込めてしまいます。なんだそんなもんかと思われるかもしれませんが、本作ではサポーターにいながらアタッカーの火力を増強させるパッシブスキルが他に一切ありません。ドナムだけ。

実際自分もプレイ中にドナムの強さに気づき、最終的にアタッカー15人のうち8人がマージナルメイズに染まりました。残り7枠のうち3枠がピアフォートレス(ジェネラル・騎士)、4枠がアステルナイト(ウォリアー・戦士)。ピアフォートレスは身代わりで肉壁になってもらい、アステルナイトにはアイテムや補助など雑事を行ってもらうだけ。マージナルメイズのカヴンはもう、一生ドナムを連打するだけでたまに全体回復するだけ。これで表ストーリーまでは全て押し通せてしまいます。

自分自身でもこれは面白くないとは思っていたんですよ。事実、ドナムの火力がぶっ飛んでるってことが判明してから途端にゲームプレイが退屈になっていました。なので他のアタッカーファセットを使ったりもしたんですが、ドナムマスターと比較するとどうしても火力が足りない。そうなると更に育成やレベル上げが必要になります。なので、自分は断念しました。じゃあマージナルメイズでいいやと。

何故なら、キャラ育成周りのUIや仕様があまりにも煩雑だったためです

あまりにも手間のかかる育成システム

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普通のコマンドRPGって、戦闘キャラは3~5体くらいが相場だと思うんですよ。控えとか入れ替えとか含めたとしても、多くて15~20キャラくらいなんじゃないでしょうか。これが最終的にどうなるか。40体っすよ。現時点での自分の状況を話すなら、戦闘画面に出るアタッカーが15体、控えが21体。総勢36体の採用。レベル上げそのものはある程度均等に振られるので問題ないのですが、キャラを強化する手段は当然他にもあるわけで。

まずは装備。右手左手、体頭足、装飾品。最大6箇所の装備品を全員分調達しなければなりません。ただ装備を揃えるとは言っても、本作の装備は同じ名前の武器でもステータスに振れ幅があったりレアリティがあったり二つ名(特殊な効果を持つことを表す接頭語)があったり、仕舞には合成要素まであります。5体でも大変なのに、15体とか30体とかやってられません。

お次は魂移し。いわゆる転職と転生を組み合わせたようなもので、ファセット専用のスキルを引き継ぎつつレベル1に戻って再度レベル上げができるというものです。魂移しを行うとアニマクラリティ(擬似的な転生回数みたいなもの)が上昇し、数値が上がるごとにステータスの上昇量が上がっていきます。通常ではありえないスキルを回収しつつ素のステータスを上げるシステムなのですが、キャラが多すぎて誰がどのスキルを持っているのかわけわからなくなる上、転職先によっては自動的に装備が外れたりでもう滅茶苦茶になります。

最後に周回レベル上げ。ただのレベル上げなんですが、アニマクラリティが上昇するほど必要経験値も増加する仕様があるせいで、どんどんしんどくなっていきます。取得経験値が上昇する結界書(カヴンの要素を決める枠組みのようなもの)を用意するのが効率的なのですが、入手方法が非常に低確率もしくはラスボス後。

これらの要素を、一覧性が低く視覚的に確認しづらいUIの中で行わなければならない。本作はステータス周りだけでもかなり要素が多く、8種類の基礎ステータスに6種類の攻撃属性、6種類の状態異常耐性&付与効果、その他などなど。スキルは最大12種類あり、結界書の効果を活かせるようカヴン内の配置も気を使い、性格や因果律やスタンスも見て……はあ。じゃあ、マージナルメイズでいいや。こうなりました。

上記の例は、まあ悪意のある紹介ではあります。例えばキャラメイクでは、性格、成長傾向、スタンス、因果律など細かい部分を設定できます。適当に遊ぶだけなら、どれも適当でいいんです。かつ、適当でもクリアできる程度には数値の暴力で解決できてしまう。せっかく面白い、こだわれる要素があるのにそれを無視できてしまう。もったいないなあと思わざるを得ません。

新しさや独自性が良いものとは限らない

ルフラン
お気づきかもしれませんが、本作はゲーム内用語が結構特殊です。ファセットだのカヴンだのマージナルメイズだの、まあ聞き慣れない単語ばかり。例えば状態異常なんかは、呪毒・幻覚・深淵・錯乱・驚愕・腐臭と一風変わっています。

良くも悪くも、コマンドRPGのいいところは分かりやすいところです。ある程度共通化されたルールが適用されているからこその面白さ。極端な例ですが、炎属性が水属性に対して有利なゲームがあったら?????ってなるに決まってるじゃないですか。いやいや逆でしょっていう。愚直なまでの単純さが大事です。それはルールだけでなく、単語も同じことです。

なので、ただのコマンドRPGだと思ってプレイすると序盤で結構痛い目を見ることになります。用語がわけわからなすぎて。実際、自分がそれなりに用語やシステムを理解してきたのはプレイから20時間程度経過してからでした。とあるボスにどうしても勝てなくて、そこで何とか理解が追いついたという、ありきたりな話です。

一方で、そういった煩雑な要素を理解できてくると途端にゲームとして面白くなってくるのは事実として伝えておきます。ダンジョン内のTIPSを読むことで少しずつ知識が蓄えられていき、より効率的に進められるようになった結果がマージナルメイズではあるんですが。

とにかく序盤の息苦しさが尋常ではない

問題は、要素の多さや用語の難解さから、序盤の探索が心底面白くないことです。これ毎回徒歩で入り口まで帰るの?ギブアップしたら戦果減るしファセットも部位欠損するんだけど?……え、マジで徒歩かギブアップしかないの?みたいな。ストーリーを進めていくと気軽に帰還できるようになるんですが、解放までが遅すぎる。あまりにも。

序盤は苦痛です。たまに挟まれるストーリーを見ようにもドロニアは性格終わってるし、ルカはいじめられてるしで気分も悪い。珍しく、本当に珍しく買ったゲームを途中で投げ出すところでした。

ここまでケチョンケチョンに言いましたが、一つだけ大事な話があります。「まあでも折角買ったんだし、エンディングまではとりあえず見るか」そんな気持ちでプレイして良かった。途中で投げ出していたら、こんなに面白い(胸糞悪い)物語と出会うことはなかったから

本項の冒頭で述べた通り、ゲーム部分は重要な部分ではありません。物語です。

登場人物カスばかり

なんて下品なゲームなんだ

ルフラン
本作は結構色々なキャラが登場します。ルフランの市民やドロニアの回想、他にも地下迷宮での敵や住人。ほぼ全員にイラストが用意されている上に人物は基本的にフルボイスですし、覚えるには苦労しません。序盤で一番関わるのはドロニアたちのいるルフランの市民たちで、気さくな連中が多くほのぼのした雰囲気でゲームを楽しめます。

ただなんというか、結構下品な表現が多いです。つまり下ネタ。どっちかというとエロ寄りの。アバズレだとか助平女だとかメスガキとか、そんな頻繁に出てくるわけではありませんが公では言いにくい言葉が要所で出てきます。前後のやりとりも強い言葉が出てくるような状況ではあるので流れ的にはまあまあって感じなんですが、そういう話が出てくるって時点で品がないと言わざるを得ません。ちなみにドロニアもしょっちゅう嘔吐してます。

ストーリーだけならまだしも装備や敵につく「二つ名(特殊な効果を持つことを表す接頭語)」にも、ドスケベだの淫乱だの、このゲーム大丈夫か?って思ってしまうような言葉がぽんぽこ出てきます。エロい魔女の大剣とか。おっぱいテロルとかいう直球な名前のドナム(魔法)があったり、誰かのケツを狙っている!みたいな戦闘ログとか、ダンジョン内でも容赦ありません。エロスというステータスまで用意されています。

念のために言っておくと、こういった言葉や文章が頻発するわけではありません。思い出した頃にふらっと出てくる程度ではあるんですが、そういう部分があり、最初の印象は下品なゲームだなあって感じだったんですよ。

まあでも、下品というだけでは済まなかったんですよね。

なんて悪趣味なゲームなんだ

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ゲームを初めてストーリーを読んでいると、かなり早い段階で「この魔女、終わってる」という感想を抱くことになります。ドロニア様、本当に性格が終わってます。性悪

特に、弟子であるルカに対する仕打ちがまあひどい。なんで?ってくらい意地悪をします。本作では魔女という存在が畏怖の対象として描かれているので、そんな魔女の弟子なんて奴隷同然みたいな空気はなんとなく感じます。でもひどい。ギャグ調に描かれる場面が多いとはいえ、人によってはドロニアの性格無理だわって投げてもおかしくないんじゃないかと思います。

何が一番つらいって、このルカがひっっっっったすらに献身的なんですよね。彼女に無理難題や嫌がらせをされても、ドロニア様ドロニア様と言って一心について回るんですよ。可愛がっていた羊を井戸に投げ込まれても、お前なんかいらないと言われても、ルカはドロニア様が大好きという。この、なに?幼児虐待の現場そのものなんですよ。この魔女一回死んだほうがいいんじゃないかってくらい、素直に気分が悪くなります。……まあルカとドロニアの関係はかなり複雑かつストーリーの核心に触れる部分でもあるので、最終的にはなるほどなあってなるんですが、それにしたってひどい。

かく言うドロニアも、色々な場面でイヤな目には遭ってるんですよ。乳がでかいだけで調子乗るなと言われたり、厄介な兵士に絡まれて隠してる義足を晒されたり。そんな彼女の過去もストーリー中盤辺りから明らかになってくるわけで、こっちもこっちでひどい。周囲にロクな人間がマジでいない。性悪魔女に悲しき過去ありって感じで、まあ元から結構終わってるんですがねじ曲がった性格の原因も分かる。そうすると今度はドロニアかわいそうだなって感情が動かされて、でもルカをいじめるしやっぱ許せねえっていう。

ルフラン
迷宮内のストーリーも、結構救われないものが多いです。例えば小人の世界アストルム王国では、ペコリーノと呼ばれる魔女が忠臣のフリをして国を乗っ取ろうとしているというのが大筋になっています。最終的にはペコリーノが反逆者として捕まってめでたしめでたしなんですが、とある場所に行くと巨人兵(小人たちが使役している別生物?)としてのペコリーノと合うことになります。自我は崩壊しかけており、鎧やらを釘で貼り付けられているという悲惨さ。ロボトミー中ダ!とか小人も言ってます。最後には絶命するわけですが、なんというか、その描写いるか?っていう。捕まってオワリ!でいいじゃん。

例えば地下帝国メルムは、トローリアと呼ばれる怪物のあれこれが軸となるストーリーです。もうまずトローリアの見た目が終わってる。悪趣味すぎる。下品。見た目は変態おじさんのトローリアですが人をバリバリ食う怪物なわけで、プレイヤーは当然人が食われる瞬間に立ち会う羽目になります。道中で出会う女性ロシナもまあ自己中の塊みたいな奴で、最終的には相応の報いを受けるわけですが、やはり救いはないです。

ここまで書いて「なんて面白そうなゲームなんだ」って思う人は少数派だと思うので、多数派のために一応付け加えておくと、以上の要素は全て文章だけで語られます。ショッキングな展開はありますが、画像映像で示されるわけではありません。グロ動画の代表に首切りがあると思うんですが、実際に映像を見るのと言葉で見るのとではその衝撃度合いは雲泥の差ですよね。そんな感じです。あくまでテキストベース、赤いフラッシュが入る程度の演出が精々なので視覚的なしんどさはありません。ただ下品で悪趣味なことに変わりはないです。

まあでも。悪趣味だけで済んだらまだ良かったんですけどね、本当に。

なんて胸糞悪いストーリーなんだ

ルフラン
品のないゲームだなあ悪趣味なゲームだなあって感じでストーリーを進めていくとですね。色々あってルカが顔に青あざを持って帰ってくるわけですよ。どうせその辺で転んだんだろハッハッハって感じで嘲笑うドロニアはドロニアで不愉快なんですが、その前の話を読んでいれば誰が犯人かは明らかなんです。でもその瞬間までは、まさかこんな展開になる?ってくらい予兆がほぼない。ドロニアへの復讐、いや逆恨みの対象にルカが選ばれるっていう。ルカもルカで、そうなんです転んじゃったんですよ~ってはぐらかす。何故なら、つい先日まで親しくしていた相手だから。

あと、このゲーム実はデッドエンドがあります。文字通りドロニアが死ぬエンドなんですが、その最期も唐突かつむごい。ドロニア様、性格は終わってるんですが顔立ちやスタイルは良いのでそれを妬まれて刺客を送られるって内容なんですけど、まあ顔面をボコボコにされるんですわ。顔を狙え顔を。無論死にます。また別のタイミングでもデッドエンドが用意されていて、こっちは四肢切断ですからね。しかも本当に不意打ちで来るので度肝を抜かれます。で、ドロニアの悲痛な声がまたキツイ。フルボイスなのでちゃんと悲鳴も演技されてます。やめろよ。

それから詳細は伏せますが、ドロニアの過去も壮絶ですね。日本一ソフトウェアお前、文章で語るだけなら何やってもいいって思ってるだろ。かわいい女の子が酷い目に遭えば何でも良いって思ってるだろ???このワンシーンだけで人に勧めるのをためらうレベル。鞭打ちなんてかわいいもんっすよ。ほんとに。でも個人的に一番キツかったのは物語終盤、「柩の間」でのやり取りですかね……これは結構、精神的にきました。

もう誰も信じられない

ルフラン
何が厄介って、どいつもこいつも最初は普通なんですよ。本当に性格の良さそうな、いわゆる根はイイやつなんだなって人々なんですが、それぞれあることをきっかけに豹変するんですよね。ちょっと怪しいな?という人間も当然いますが、自分は2回目のデッドエンドを迎えた辺りから、本当に誰も信用できなくなりました。色々な場面で悪趣味な展開が用意されているんで無意識のうちに、この人は大丈夫、この人は味方、この人は仲間……と信頼できる人物を探し始めちゃうんですよね。人狼みたいなもんすよ。で、ことごとく裏切られる。冗談ではなく、ことごとく、です。最終的にドロニアやルカまで疑い始める始末でした。そのくらい誰も信じられなくなります。

……でも安心してください。このゲーム、こんな胸糞悪い内容ではありますが最終的には救われます!本当に安心しました。疑心暗鬼が過ぎてエンディングムービーですら身構えて見ていたわけですが、これは本当に良かった。他のレビューなどを読むと、感動するとか泣けるとか書かれているんですが個人的にはちょっと違いました。安堵した、ほっとした。これが一番近い感情です。もしバッドエンドだったら多分もっとネガティブなこと書き散らしてただろうなってくらい、言ってしまえばちょろく丸め込まれましたね。

ちなみに、ここまで紹介した内容は意図的に嘘を混ぜてます。まあ下品で悪趣味で胸糞悪いゲームではあるんですが、それだけ言うなら見てみたいという人もいると思うので。ストーリーのことは語りたいんですが、本当のことを語りすぎるとネタバレになるので、その配慮です。どれが嘘なのか、是非実際にプレイして確認してみてくださいね。

理不尽な物語の勇者様

「自由が怖いんだろ?XXXX」

ルフラン
本作を語る上で重要なのは、そんな下品で悪趣味で胸糞悪い物語です。本当に、いたるところで気分が悪くなります。

しかし、性格終わってるドロニア様の目的は明確です。

紹介の順番が逆転しますが、彼女の目的は3本の「鍵」を探すこと。その鍵を探すために片田舎のルフラン市にある「地下迷宮」を調査しにやってくるわけです。地下迷宮の調査をする中で、この迷宮とはそもそもなんなのか、この街は何を隠しているのか、夜な夜な現れる穢レ人の正体は。メインストーリーは鍵を探すことであり、探す中で様々な謎に迫るという構造になっています。

胸糞悪いストーリーと今まで書いてきましたが、厳密には要素・過去話であって彼女の目的自体は暗いものではありません。重いものではありますが。時にヒステリーを起こしたり、ルカにつらく当たることもありますが、それでも彼女は一心不乱に目的に向かって行動し続ける。

彼女、夕闇の魔女ドロニアの性格は最後まで終わってます。ただ物語を紡ぐ中で彼女は少しずつ、本当に大事なモノが何なのか、いや何だったのか、それに気付き始めます。自分の正体、自分の罪、そしてルカとの関係。全てを悟ったドロニアが最後にどんな行動を取るのか、どのように決着をつけるのか。その姿は、理不尽な物語の哀れな魔女と映るかもしれません。しかし、”彼女”にとっては”勇者様”だったのです。

こういうのをカタルシスと言うのかなと。散々陰鬱な話を聞かされながらストーリーを追ったからこそ、驚異と絶望に立ち向かうための勇気を得たドロニアの姿に惚れてしまう。いや、物語的に言いたいことは他に山ほどあるんですけど、言えません言えません。

ミステリーという程ではないものの、キャラ同士の関係性やドロニアの過去との繋がりなどが綿密に練られているので、あっと驚きつつ強い納得感が得られる作り込みには非常に感心させられます。また細かい行動や文章で伏線が張られており、面倒ではありますが2周目をプレイするとこれってこういう意味だったのか、という気づきも多く得られるでしょう。色々な意味で、各人物への見方も大きく変わると思われます。

舞台に登場する人々

ルフラン
登場人物はカスばっかりなんですが、キャラクター像自体はどれもいいです。

例えば分かりやすい悪役であるバーバ・ヤーガはとてもいいキャラをしています。典型的な老婆の魔女という出で立ちで、かつその力は圧倒的でストーリーで何度もドロニアの前に立ちはだかります。念のため、悪役として魅力的という意味であって性格がいいという意味ではないです。こいつも大概カスです。ただ、他の人物と違って悪役として君臨してくれているので安心感はありました。

出番は少ないんですが、ストーリー序盤でちょいちょいお世話になる鋳造師。ニムト。こいつ言葉理解してんのかってくらい意思疎通が困難な男で、やはり彼もカスです。何がカスってドロニアの誕生日と聞くや否や指輪をプレゼントするところが。は?しかも直接ドロニアの手を取って渡すという。てめえ!ついでに彼にはフリッツという弟子もいて、こいつはこいつでドロニア様にカンチョーを仕掛けるクソガキです。しかもルカに好意を持ってるっぽい。てめえ!

フルネラもいいですね。出番は少ないんですがお気に入り。攻撃的なチワワみたいな感じで、要はこいつも性格終わってて、ドロニアに対して敵意を剥き出しにしているのである意味安心して見れます。裏切りようがないからね。

あと聞いてください。本作には百合要素、つまり女性同士の恋愛模様があります!良かった良かった。勿論、ドロニア×誰々です。エントリーナンバー1はかなり早期の段階で遭遇できるマリエッタ。彼女はかなりグイグイきます。シモの意味で。もう初対面の時点でドロニアに惚れてますし、肉も食うし酒も飲むし色気も出すしの破戒僧のカス。エントリーナンバー2などなどもいるのですが、続きは本編でどうぞ。

絶対に欠かせないのはルカ。献身的で盲目的で、天真爛漫な姿で見ているだけで癒やされます。天使。自分は普段フルボイスのゲームとかをプレイしていてもテキストを自分のペースでさっさと読み進めちゃう人間なんですが、ルカに関してはあまりにもかわいくて結果ほぼフルボイスの演出を楽しむハメになりました。

ルカって萌え(死語)みたいなかわいさじゃないんですよ。性的なかわいさじゃなくて、小動物的なかわいさというか。ちょっと中性的な顔立ちをしていて、あまりにも幼いので最初は男の子かと思ったんですが女の子みたいです。彼女も色々と秘密を持っているのですが、断じてカスではありません。むしろ本作でカスじゃないのはルカくらいです

総評

ルフラン
ダンジョンRPGという分かりやすいジャンルでありながら、中身のシステムは複雑かつ混乱しやすく、ゆえにやりこみ要素も多い。お世辞にもバランスが良いとは言えないものの、育成RPGとしての面白さ十分。それを面倒とするかやりがいがあるとするかはあなた次第。

本作を語る上で、重厚かつ理不尽な物語への言及は避けられません。気分が悪くなる要素がこれでもかと降り注いでくるわけですが、必死にもがく夕闇の魔女の活躍と結末、そして練り込まれた物語には一見の価値があると言えるでしょう

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』のGame8スコア

Game8スコア

総合評価
7.56点/10
世界観 グラフィック ゲーム性
9.0/10 8.0/10 7.0/10
キャラクター
(ストーリー)
サウンド 快適さ
9.5/10 6.5/10 5.5/10

【総合評価】
編集部が話し合いによって決める参考値です。総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。
【6項目評価】
世界観:世界や設定の出来栄えの参考値
グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値
ゲーム性:戦闘や収集要素などの面白さの参考値
キャラクター:キャラたちの魅力、背景の参考値
サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値
快適さ:ロード時間や操作性、運営の更新性の参考値

みんなの評価

面白い、人に勧めたい
0
面白い、ただ勧めるのはちょっと…
0
どちらでもない
0
つまらない、退屈
0

製品情報

エルデンリングパッケージ
タイトルルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団
発売日2022727
開発元日本一ソフトウェア
対応機種
ジャンル
プレイ人数
CEROC

コメント

1 名無しさん

画像見て滅茶苦茶「世界樹の迷宮」だと思ったら、違うんですね・・・ 発売元は違うけど、開発が同じ? ほぼ一緒に見えるんだけど。

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