
本作は「理不尽に立ち向かう少女たち」「『死』と『涙』をテーマにした」「泣いて戦うアクションRPG」。『CRYSTAR -クライスタ-』に登場する少女たちは、もちろん不幸な目に合う。しかし彼女たちはピュアでも白痴でもない。疑心暗鬼と葛藤、そして罪悪感に苛まされながらエゴを貫き通す、脆い理念を持った少女しかいない。

▲ゲーム開始5分後。既に泣く主人公
物語は、主人公である「幡田零(れい)」と妹の「幡田みらい」が「辺獄」と呼ばれる世界に迷い込む形で始まる。零はみらいを守るため「守護者」と呼ばれる存在の力を得るものの、結果的には自身の手で妹を殺めてしまう。零は悪魔と契約し、みらいを「ヨミガエリ」させるべく辺獄の地で涙を流す。公式サイトでも確認できる範囲のあらすじは以上となる。
この時点で筆者は複数の疑問が頭によぎった。辺獄とはどのような世界なのか、守護者とは、ヨミガエリとは、そもそも何故2人は辺獄へ迷い込むことになったのか。あの電話は何だったのか?この会話の妙な余白はなんだ?あの蝶の正体は誰なのか?そして、オープニングムービーが妙だ。
これら物語序盤にありがちな導入や世界設定に関する疑問は、全てと言ってもいいほど綺麗に解き明かされる。

▲彼女たちの同期は単純明快。物語を見失わなくて済む
良くも悪くも物語の展開自体は読みやすい。後述するが、本作はキャラクターの心情の揺れ動きが至上のカタルシスを与えてくれるため、先の展開が読めてしまうが故にキャラの一挙手一投足に集中できるという意味では良い方向に作用しているのではなかろうか。
あまり物語について話しすぎるとネタバレになるので難しいが、波乱万丈な展開を見せつつも彼女たちの結末もある程度の納得感を与えてくれる。綺麗な着地と言わざるを得ない。
ちなみに、以前の辺獄はどのような様相だったのかとか、辺獄を想像したのは誰なのかとか、世界観設定についての細かい説明は多くない。代わりに、「死者回想録」という形でそれらを考察できるだけの材料は用意されている。

▲幻想的な背景ビジュアル。ふと眺めたくなる
物語の雰囲気を壊さず、より深く没入させてくれる縁の下の力持ちとして、悲壮感と寂寥感あるビジュアル背景とBGMは紹介しないわけにはいかない。
舞台である辺獄は、字面の通り明るい場所ではない。しかし陰鬱な場所でもない。寂しくもあり、ある意味では希望を孕んだ秩序がある世界として、どこか幻想的な雰囲気に包まれている。街並みや校舎、牢獄や深い森、それら現世に存在する場所はいずれも特異な色彩によって描かれており、夢の中をさまような不思議な感覚にプレイヤーをいざなってくれる。

▲回想イラスト。ピンと来たなら、その予感は恐らく正しい
BGMはピアノとヴァイオリンを基調とした静謐なものが多い一方で、戦闘時や決起するシーンなどでは一転して激しい曲調へと変わる。この緩急の付け方によって、プレイヤーは主人公たちが立たされている状況や状態を自然と理解することができるのだ。

▲場の空気を読める心衣姉さん。大人だ
物語が進めば、「不動寺心衣(ふどうじこころ)」「恵羽千(めぐみばせん)」「777(ななな)」といったキャラクターたちも登場する。何故この4人が出会ったのかという点についても明確な理由があり、それが本作の物語を読み解く上で非常に重要な要素となっている。
当初筆者は、オムニバス形式で物語を展開させていけばいいのにと考えていた。後述するゲーム性からも、それぞれが持つ「エゴ」の本質からも、4人が共闘する理由をイマイチ感じ取れなかったわけだ。
その考えが一気に払拭されるのは、物語中盤に突入してからのことだ。ただなんとなく行動していただけの4人は、それぞれの想いと思惑に操られるようにして、自信のエゴを貫き通すべく行動を開始する。
エゴという言葉を使っていることから察せられる通り、4人が胸に抱く感情は必ずしも他者に受け入れられるものではない。それは時に他者を傷つけ、時に自身をも壊しかねない力として体現される。中盤で展開される物語の後は、最後まで一気に駆け抜けてしまうほどプレイヤーの心を惹きつけるとだけ言っておこう。

▲零の守護者。その正体とは……?
それぞれのキャラクターに触れるとやはりネタバレになるので、ここでは多く語らない。(ちなみにだが、筆者は「心衣姉さん」を推している。)

▲空を切る心衣姉さんの攻撃
ところが。筆者が愛する心衣姉さん、ゲーム内での立ち回りにはちょっとしたコツが必要だ。心衣姉さんは、零の次に操作できるキャラだ。その瞬間の喜びと言ったらなかった。見た目ヨシ拳ヨシ、空手の有段者でしかも大人。「ははあ、これはいわゆるお助けキャラだな?」……そのイメージとのギャップに、最初は少し戸惑った。
彼女は拳を武器に戦う超近距離型のキャラだ。リーチが短く攻撃速度もゆったりめで、慣れないうちは距離感をつかむのに時間がかかる。例えるなら、大きなハンマーをどっしり振り回すような独特のリズム感だ。

▲本作は遠距離攻撃が可能な彼女が最強
本作に登場する敵「幽者」や「幽鬼」の中には素早く動き回る個体もおり、近距離型の心衣姉さんで追いかけるのはなかなかの腕前が求められる。ボスでも距離を取る行動が多く、立ち回りを工夫する必要があった。筆者はしばらく操作キャラを零に戻してプレイすることにした。というのも、主人公・零の操作感もなかなかクセがあり、こちらも慣れが必要だと感じたからだ。

▲瞬間を切り抜けば爽快なアクションに見えなくもない
その後に登場する千も777も、操作感という点においては零とも心衣姉さんとも大差なかった。これはキャラクター性能というより、アクション全体のクセによるものだろう。
攻撃判定の狭さやヒットストップの強さ、ロックオンの挙動、ボタン入力のレスポンスなど、最初は戸惑う場面もあるかもしれない。回避やジャンプの挙動も独特で、一般的なアクションゲームとは少し異なる感覚だ。交代システムや全方位攻撃スキルも、使いどころを見つけるまでに時間がかかった。慣れてくると自分なりのリズムで戦えるようになるので、序盤で諦めずに触り続けるのがおすすめだ。
敵のバリエーションやボス戦の駆け引きという面では、好みが分かれる部分かもという点もある。ただ、シナリオを追いながらテンポよく進めていく分には大きな支障はなかった。

▲収集要素自体はそこそこ面白い。そこそこ
また、RPG部分(育成や収集要素)は収集要素はランダム性が高めで、思装(装備)強化に必要な素材集めにはやや根気がいる。また、これは個人差にもよるだろうが、3Dモデルの表情やモーションのバリエーションも限られている印象で、シナリオの熱い場面でもう一押し演出があればより没入できたかな、と感じる瞬間はあった。ストーリーの魅力がしっかりあるだけに、演出面がさらに追いついてくると全体の完成度がぐっと上がりそうだ。

▲丁度いい台詞を管理者が持っていました。同感です
先述の通り『CRYSTAR -クライスタ-』の物語は完成度が高い。序盤のありきたりな展開ですら、中盤以降プレイヤーの目を引いて離さない材料となり、強烈な出来事が連続する。プレイヤーは物語に没入し、次はどうなるのか、どうつながるのか、気になって仕方がなくなる。
その没入感に最初から最後まで水を指すのは、他ならない本作のアクションパートだ。ひたすらに退屈で苦痛。勿論、アクションパートの存在を否定しているわけではない。言うだけならタダなので言わせてもらうが、アクションが面白ければ決して文句はないのだ。
総評。『CRYSTAR -クライスタ-』の良質な「ノベル」は、悪質な「ゲーム」によって破壊されてしまった。以上だ。筆者は本作と出会えたことを嬉しく思うが、安易に人に勧めようとは思わない。
| 総合評価 | ||
|---|---|---|
| 6.5点/10 | ||
| 世界観 | グラフィック | 戦闘 |
| 8.0/10 | 6.0/10 | 3.0/10 |
| キャラクター (ストーリー) |
サウンド | 快適さ |
| 9.0/10 | 9.0/10 | 4.0/10 |
| 【総合評価】 編集部が話し合いによって決める参考値です。総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。 【6項目評価】 世界観:クライスタの世界の出来栄えの参考値 グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値 戦闘:戦闘システムの面白さなどの参考値 キャラクター:キャラたちの魅力、背景の参考値 サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値 快適さ:ロード時間や操作性、運営の更新性の参考値 |
パッケージ版の購入はこちら(Amazon) |
![]() | |
| タイトル | CRYSTAR-クライスタ- |
|---|---|
| 発売日 | 2022 5 27![]() |
| 開発元 | フリュー |
| 対応機種 | |
| ジャンル | |
| プレイ人数 | |
| CERO | C |
自分含めストーリーを読むことが好きでゲームをしてる人にはクライスタ勧めたことあるけど、記事にあるようにおいそれと人には勧められないですよね。 絵や雰囲気が凄く好きなので同じ系譜のクライマキナは快適なアクションができることを願うばかりです。
ゲームエイトをご利用いただきありがとうございます。
記事をより良くしていくために、「『CRYSTAR-クライスタ-』評価レビュー|プレイした感想」に関する間違いの指摘やご意見、感想などを募集しています。
不具合のご報告の際には、どのような状況でどのような症状が起きたかを可能な限り詳細にご記入ください。
この内容で送信しますか?
| 間違いの指摘・意見を送る |
|---|
『CRYSTAR-クライスタ-』評価レビュー|プレイした感想

Thank You

©
当サイトのコンテンツ内で使用しているゲーム画像の著作権その他の知的財産権は、当該ゲームの提供元に帰属しています。
当サイトはGame8編集部が独自に作成したコンテンツを提供しております。
当サイトが掲載しているデータ、画像等の無断使用・無断転載は固くお断りしております。

投稿したコメントにクイックアクセス!
コメント管理機能が実装されました!
無料会員登録いただくとすぐにご利用いただけます。

Game8.jpにネタバレ非表示機能が実装されました!
ネタバレを気にしない場合は、上部メニューより「ネタバレ非表示」機能をOFFにしてください。

お気に入りの記事にクイックアクセス!
お気に入り登録機能が実装されました!
無料会員登録いただくとすぐにご利用いただけます。
お気に入りがまだありません
気になる記事をお気に入りに追加してみましょう

個人的にシナリオも面白くなかった 時間はあまり残されてないはずなのに、話の大筋をほったらかして女同士でイチャイチャしようとする茶番がとてつもなくどうでもよかったし、 ただでさえゲームの動きとシナリオが乖離してる状態でこんな痴話話見せられるもんだから見る気が完全に失せた