『Vampire Survivors』評価レビュー|流行るには流行るだけの理由がある

Vampire Survivors
本作との出会いは、知人に勧められてのことだった(2022/05/10)。どうも配信者界隈で最近流行っているとのことだ。ふーん。そんな態度斜に構えて触れてみると、困ったことにすっかりハマってしまい、本レビューの執筆が遅れに遅れた。

筆者にとって流行り物とは、内容の可否では決まらず分析されるわりに再現されないという厄介な代物である、という持論がある。そして『Vampire Survivors』は、流行っているものは少なからず面白い、というもう1つの持論を補強するに足りる作品であった。

操作が簡単なサバイバルシューティング

肉壁迫る弾幕シューティング

弾幕・肉壁を薙ぎ払う様子

▲爽快感あるシューティング。シューティング風?

プレイヤーの目的は、全方位から襲来するコウモリやゾンビなどにやられないように立ち回りつつ、30分間生き残ることだ。魔物たちを撃退できるように武器を持っているが、圧倒的な物量を相手にするには分が悪い。常に敵の場所を把握しながら、ときには逃げたりあるいは迎え撃ったり、とにかく自分の位置に気をつけつつ立ち回るのが基本的な遊び方になる。

筆者は当初2Dアクションゲームだと思いプレイしていたのが、いざ遊んでみるとその認識が誤りであることに気付かされた。何故ならボタン操作はほぼ必要なく、移動のみでゲームをこなすからだ。そう、本作のジャンルはシューティングである。特に「避ける」ことが重要な要素になっており、俗に言う弾幕シューティングのような性質を持っている。そのことに気づいてからは、簡素すぎるエフェクトやアクション性のなさについての不満は一気に解消された。

既にプレイしていて、アクションゲームとしての単調さを感じている人がもしいれば、弾幕シューティングゲームとして見方を変えてみるといいだろう。シューティングとして見ると、そのシンプルさと完成度の高さを実感できるはずだ。

分かりやすい操作と単純明快なシステム

ステージ選択画面

▲日本語訳は未完成だが、雰囲気で大抵なんとかなる

アクション性が高いだのカスタマイズ要素が多いだの、自由度を歌うゲームは世の中に溢れているが、その裏には必ず複雑な操作や取捨選択の要求が隠れている。そういった課題をこなせないプレイヤーは、頭の中のイメージとゲーム内の挙動の食い違いに耐えられず、ときには罵詈雑言を伴っていつしか辞めていく。しかし、『Vampire Survivors』にそのような懸念は一切ない。

本作において必要な操作はとてつもなく少ない。スティックでの移動と、決定・取消に使う2つのボタン。これだけである。必要な操作が少ないということは誰でも簡単に遊べるということであり、それだけ早くゲーム体験の本質に近づけることでもある。その上で面白くないと感じる人もいるだろうが……それはもう仕方がない。趣味嗜好の問題か、飽きのどちらかだろう。

試行錯誤がローグライク性の醍醐味

何故14分で力尽きてしまうのか

14分台で負ける図

▲狼男と巨大コウモリが迫る鬼門の時間(だと思う)

最初に選択できるステージである「狂乱の森(Mad Forest)」において、筆者はどうしても14分を過ぎた辺りで負けてしまっていた。巨大コウモリと狼男が群れをなしてくる時間帯、言わば小ステージのようなものである。通常であれば迫ってくる敵を処理しつつ切り抜けられるのだが、両者ともにHPが高くジリジリ追い詰められて押し潰される。そして、その負け方を3回は繰り返した。もちろんコンティニューはない。最初からだ。

コインでパワーアップアイテムを購入

▲繰り返し遊ぶだけで次回挑戦が楽になる

ステージで入手できるコインを集めると、タイトル画面からパワーアップアイテムを購入できる。これらは使い捨てではなく永続的な効果を発揮するので、例えばダメージを上昇させる「ほうれんそう」を1回買ってしまえば、以降の挑戦はずっと有利に進められる。なので、同じことを繰り返し少しずつ強化していけばいずれ14分を超えられるのは分かっていた。しかし、そんなパワーアップ要素に頼っているだけでは何も面白くない。極端な話、何も考えなくともクリアできてしまう。

ステージに登場する敵は、倒すとEXPを落とす。EXPを拾うことでレベルが上がり、レベルが上がると装備を選んで入手でき、新たな攻撃手段の追加や持っている武器の強化ができる。このようにして段階的に強くなる敵に対抗していくわけだが、結論を言ってしまうと筆者の場合レベル上げに対する意識が弱すぎた。そのせいで、HPの高い敵に対応できなかったのだ。

初めて狂乱の森の14分台を突破

▲初見と比較して8レベルも高い。一見ピンチだが大丈夫

そのことに気づいてからは、EXPを積極的に拾ったりアイテムの収集範囲を広げる装備を選んだり、レベル上げを重視したプレイに切り替えた。また、複数の武器を並行して集めるよりも1~2種類の武器に絞って強化していったほうが敵を決まった位置で倒しやすく、EXPの収集も効率的に行えることもなんとなく感じていた。そのような試行錯誤もあり、筆者はついに14分を突破した。30分生き残るというゲームで、なんとか折り返し地点までたどり着いた!そして20分前後で力尽きた。

次の挑戦で20分以上生き残れたかは覚えていない。しかし、以降14分のウェーブで押し潰されることはほぼなくなった。

負けたら最初から。だからこその発見がある

リザルト画面

▲リザルトではDPSを表示してくれる。振り返りに

ステージクリア型ゲームの面白さは、何度も同じような状況に立たされる中で改善点を短期間で発見できることにある。最初はなかなか攻略できなかったものがいつの間にか簡単にクリアできるようになるのは、自らの経験と知識が無意識的に蓄積されていくからだ。逆にこの発見を上手くできない場合、つまらないと感じたり(何も考えずに)攻略サイトを見たり、ときにはバランス調整が下手などと口にして責任転嫁してしまう。

ステージクリア型ゲームの欠点は、再現性の高い攻略法を発見してしまうと、それが通用する限り何の変化もない退屈なプレイになってしまうというところでもある。もうこの部分は絶対クリアできるからスキップさせてよ。もうこのステージは飽きたよ。こうなってしまう。

レベルアップで装備を選択

▲装備はあくまでランダム。優先順位が肝要

そんな、ある種の定石を良い意味で台無ししてくれるのがランダム性であり、俗に言う「ローグライク性」なのだ。本作においても、飽きを解消させるためのランダム性は取り込まれている。

例えば、武器は基本的にはレベルアップ時のランダム入手なので、序盤の強力な武器である「にんにく(自分の周囲に軽微な攻撃判定を出し続ける)」が手に入らず上手くプレイを進められない場合がある。じゃあドロップアイテムを頼りにする立ち回りを取ろうとか、近距離を攻撃できる「ムチ」「斧」「土の聖書」で今回はやり過ごそうとか、別のプランを立てる。

勿論、別プランはそれまでの経験や知識がないと浮かんでこない。要は、ランダム性の登場によって、基礎でしかないはずの経験と知識に自然と応用が求められるようになる。今まで前提としてきた攻略が実は意外と有用でなかったり、もっといい方法があることに気付かされることもある。ランダム性とは新たな発見の機会であり、新たな楽しみを探る機会でもある。言うまでもなく、それは本作を長く楽しむためのスパイスであり、深みなのだ。

……なお蛇足ではあるが、筆者としては本作を「ローグライク」というジャンルではなく「ローグライト」とか「ローグライクライク」とか、別ジャンルとして扱ってほしいと願っている人種である。まあその辺色々物申したいのだが、ここでは割愛させて頂く。

総評

『Vampire Survivors』のジオヴァーナ

▲筆者イチオシのジオヴァーナ。猫が不安定すぎて面白い

『Vampire Survivors』のジャンルは、2Dアクションではなく弾幕シューティング(風)だ。簡単な操作と明快なルール、何より手頃な値段で少しずつ強く上手くなることを実感させてくれる楽しさがある。精密・瞬間的な動作はほぼ要求されないためながらプレイをしやすく、配信者界隈で扱いやすいゲームとしての納得感もある。

もし本作を見ているだけで満足している人がいるならば、それはもったいない話だ。たかだか300円である。7000円です!と言われれば考えものだが、まあ、300円だ。暇な休日でもあれば、流行に乗っかってみてはいかがだろうか。

※本レビューは2022/05/14時点のもの

『Vampire Survivors』のGame8スコア

Game8スコア

総合評価
5.5点/10
世界観 グラフィック ゲーム性
2.0/10 5.0/10 9.0/10
キャラクター
(ストーリー)
サウンド 快適さ
3.0/10 4.0/10 9.0/10

【総合評価】
編集部が話し合いによって決める参考値です。総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。
【6項目評価】
世界観:世界や設定の出来栄えの参考値
グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値
ゲーム性:戦闘や収集要素などの面白さの参考値
キャラクター:キャラたちの魅力、背景の参考値
サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値
快適さ:ロード時間や操作性、運営の更新性の参考値

みんなの評価

面白い、人に勧めたい
1
面白い、ただ勧めるのはちょっと…
0
どちらでもない
0
つまらない、退屈
0

製品情報

エルデンリングパッケージ
タイトルVampire Survivors
発売日2022527
開発元poncle
対応機種
ジャンル
プレイ人数
CEROA

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