『ダイイングライト2』評価レビュー|進化したオープンワールドとパルクール、そしてバグ

ダイイングライト2タイトル
「ダイイングライト2 ステイヒューマン」は、広大なオープンワールドとパルクールの爽快さが売りの「ダイイングライト」シリーズ2本目の作品。前作は約1700万本の売上を記録しているだけあって、「ダイイングライト2」の初週売上も3.6万本と好調の滑り出しとなっている。

本記事では、実際にプレイしてみて筆者が感じた前作との比較、そして話題となっている致命的なバグについてを中心にレビューしていきたい。

「ダイイングライト2」は買いか否か

まずは本記事を見に来る方が一番気になるであろう『本作は買いか否か』について結論から述べておく。

前作プレイヤーは”買い”、シリーズ未経験者は一旦1からプレイ推奨である。

前作を最後までプレイしていて2を買うか迷っているのであれば、ぜひとも購入をおすすめしたい。前作にあったオープンワールドとパルクール、感染者との戦闘やサバイバル要素が本作にも申し分なく詰まっている。多少劣化した要素もあるが基本的には1から正当進化を遂げているため、前作プレイヤーであれば楽しめるはず。問題があるとすれば後述するバグとの戦いだけだ。

一方でシリーズ未経験者だと楽しめないかと言われるとそうではないが、1からの設定を「これくらい知っとるやろ?」といった感じで平気でぶち込んでくるため、世界観をしっかりと把握した上でストーリーも楽しみたいプレイヤーには不向きと感じた。「感染者はどうやって出現したのか?」「何故町が隔離されているのか」といった疑問は主に前作で語られているので、話の繋がりはなくとも世界観を理解する上では前作からのプレイをおすすめしたい。

王道なサバイバルストーリーとマルチエンディング

良い意味でも悪い意味でも王道なストーリー


ハランウイルスが世界を呑み込んだ後、人類は最後に残されたいくつかの集落に避難した。過酷な終末世界を旅する流浪人は、資源や貴重な情報を運び、集落同士を繋ぐ役割を果たしている。その一人であるあなたは、人類が再び希望を見出せるかもしれない場所、「シティ」にたどり着いた。
出典:ダイイングライト2公式サイト

プレイヤーは「流浪人」である主人公「エイデン」となり、妹を探すために「シティ」で様々な依頼をこなしていく事になる。ストーリーにおける前作との繋がりは無いため、(前述したとおり世界観の理解が多少難しいが)前作未プレイのプレイヤーでも問題なくプレイできる。今作では『妹を探す』という明確な目標が建てられているので、比較的感情移入がしやすい印象を受けた。

本記事ではネタバレ防止のため多くを語らないが、序盤〜中盤にかけてのストーリー展開は良い意味では王道、逆に言うとよくあるゾンビサバイバルで、某有名ゾンビドラマを見ているような感覚に陥った。終盤はエンディング分岐に関わる選択肢が増えてくるため、プレイヤー自身の倫理観やロールプレイに従って選ぶ必要が出てくる。

周回には向かないマルチエンディング

本作ではマルチエンディングが採用されており、協力した勢力やミッション中の選択、終盤のミッションでの選択肢によって5つのエンディングのいずれかを見る事になる。プレイヤーの遊び方によって結果が違ってくるため面白い要素ではあるが、エンディングの決定には複数の要素が絡んでくるため自分の意図した結果にするのは少し難しく、全てのエンディングを見るのは大変だと感じた。

ホーコン

▲筆者の推しホーコン。彼もEDに影響を与える重要NPC。声がいい。

マルチエンディングを起用するのであればある程度の周回しやすい要素を入れても良いものだが、本作にはそれが無いのである。そもそもストーリー自体が長めで1周するのに時間がかかるため、せめて強くてニューゲームのような機能があればよかったかも知れない。

加えて細かい分岐条件が初見では分かりづらいのもあった。分岐を上手い具合にストーリーへ落とし込むため仕方ない部分ではあるが、もし2周目以降をプレイするのであれば分岐条件を書いてくれているサイトを見ながらプレイする必要がありそうだ。

オープンワールド×パルクールの魅力は健在

オープンワールドの作り込みが強化

「ダイイングライト」シリーズ最大の特徴といえば、感染者に溢れたオープンワールドとそこを縦横無尽に走り回るパルクールだ。本作もその特徴は変わっておらず、進化した点も多い。筆者は特にワールドの作り込みが大きく進化したように感じた。

葬式

▲葬式をする人々と奥から邪魔しに来る感染者

町中には(日中であれば)感染者だけでなくNPCも多く点在し、それぞれの生活や仕事を行っている。近くに感染者が来れば撃退し、夜になれば拠点へ戻って行く。更には葬式をしているNPCに専用のセリフまで用意されている等、前作と比べてNPC達の「生きている感」が更に感じられるようになっているのだ。

シティ

▲序盤の印象的なシーン「ようこそ…楽園へ」

今作は1から約20年が経過しているという事で、前作と比べて舞台となる街の様子も様変わりしている。廃墟となった家の間には木々が生い茂り、廃墟×自然の退廃的なイメージが強くなった。実を言うと筆者は廃墟見たさでこういったポストアポカリプスなゲームをしている節があるので、本作の景色は大好物。序盤のストーリー中は探索欲が上回ったお陰で何回かミッションエリアから出て死にかけた。

相変わらず当たり判定の広いパルクール

本作における地上は日中でも感染者が闊歩する危険地帯なので、プレイヤー達生存者は比較的安全な屋根の上を移動する必要がある。自身の手足だけで街中を走り回るパルクールは今作も健在だ。一見登れなさそうな壁でも小さな出っ張りに手をかけて登れるし、建物の隙間もジャンプで軽快に飛び回れる。パルクールの判定がかなり甘めで、多少無理があっても建物の縁などに吸い付いてくれるためかなり快適に走り回れた。例えるならば一人称視点版の某アサシンゲームっぽい。

パルクール

▲街中には快適に移動できるルートが多数存在する

序盤はステータスやパークが育っていないため足が遅く感じるが、自身の能力が上がっていくとスタミナやパークの影響で段々と快適になる仕組み。更に途中から「パラグライダー」や「グラップリングフック」といったツールも増えていくため、序盤はどんどんストーリーを進めて要素を解除していった方が良いだろう。

武器防具を掘る楽しさが追加

改造要素がパワーアップ、でも武器は壊れる

本作の武器には「昼間のダメージ増加+◯%」などのステータスの他、ランダムで付与されるスロットに改造パーツを取り付けて様々な追加効果を得られるようになった。更に防具にもランダムで経験値増加やダメージ増加などの効果が付与されるなど、全体的に武器防具の要素がパワーアップしている。それぞれランダムに付与されるので、自身の欲しい能力の付いた装備を集めるハクスラ要素が加わったのは個人的に嬉しい所。

武器

▲序盤から特殊効果やスロット付き武器が入手できる

前作に引き続き、それぞれの武器には耐久力が存在する。ただし前作の修理システムは存在せず、どんな効果が付いていようとも武器は最終的に壊れてしまう。一部のアイテムで延命措置が可能だが、正直そこまでするなら前作の修理システムを復活させてほしかった。

一方で防具は壊れないため、揃えるのであれば防具をおすすめしたい。武器はいい効果を拾えたらラッキー程度で、お気に入りは対強敵用にある程度改造して温存しておくほうが良さそう。

更に危険になった夜の町

昼と夜のメリット・デメリットのバランスが秀逸

前作から引き続き、夜の街は昼と比べて格段に危険となる。日中は暗がりに引っ込んでいた感染者達が夜になると街に溢れ、更に特殊能力を持った感染者も登場する。特に今作から登場した「ハウラー」が厄介。見つかると大声を上げて仲間を呼び、「チェイス」と呼ばれるイベントが発生する。

ハウラー

▲叫んで仲間を呼ぶハウラー。チェイス目的でなければ基本的には見つかりたくない。

「チェイス」では大量の感染者に追われるため一見すると避けるべきだが、「チェイス」中は獲得経験値が増加する効果が付いている。更に夜の街は探索しているだけで獲得経験値ボーナスが入るため、夜の街での「チェイス」はレベル上げに最適になっているのだ。夜の街にもメリットをもたらすことによって、昼夜どちらも行動する理由付けが上手い具合にできているなと感じた。

免疫力要素は好き嫌いが分かれそう

主人公エイデンは序盤から感染者に襲われ、運悪くウイルスに感染してしまう。直後に「大抵は数秒で死ぬ」らしい強力な薬「インヒビター」を打たれたが、幸いなことに感染者へ転化する事はなかった。

大抵は数秒で死ぬ

▲数秒で死ぬらしいが、ゲーム中でインヒビターを使うとステータスが向上する。どうなってんだエイデン。

だがウイルスに感染している事には変わりがないため、長時間紫外線を浴びないと感染者に転化してしまう。もうお分かりかと思うが、夜間の行動や建物内での探索などに制限時間が設けられているのである。

免疫力

▲紫外線が無い場所に入るとカウントが開始される

画面上部の免疫力が0になると強制的にゲームオーバーとなってしまうので、夜間や室内を探索中は常にこの数値を気にしていなければならない。だが前述した通り夜間は経験値などのボーナスが付き、屋内探索は屋外よりもレアな素材やアイテムを入手できるため、バランスを考慮しての措置だと思われる。

免疫力は太陽光やUVライトの光を浴びればすぐに全回復するし、カウントダウン自体もかなり余裕があるのだが、ここはかなり好き嫌いが分かれそうだ。筆者は時間制限が大嫌いなので、正直夜や屋内の探索は気乗りしなかった。

致命的な進行不能バグと一部不親切なUI

本当の敵は進行不可能バグ

バグというと、特に処理範囲が広いオープンワールドではありがち。本作も例に漏れず存在するが、2022年3月時点ではかなりひどい。筆者は重度の洋ゲーマーなのでNPCが地面にめり込んだり吹き飛んだりする程度のバグはむしろ好むレベルではあるのだが、さすがの筆者もプレイしていて眉根を寄せる場面が何度かあった。

ホーコンバグ

▲正規ルートを通れずに落下していくホーコン氏

NPCの挙動がおかしい場面などはしょっちゅうあったが、目標地点で突然ワープしてくるためプレイには問題無い。洋ゲーにありがちな作りである。むしろ好き。本当に迷惑なのは進行不能バグが複数存在する事だ。

まず遭遇したのはエレベーターボタンのバグで、いくら押しても進むことが出来ない現象に見舞われた。エレベーターで移動しなければ進めない場面だったため他のルートは存在せず、何度か再起動したり他の場所を行き来しているうちになんとか進めるようになった。

進行不能バグ

▲周りの敵を全滅させても押せないボタン。友人提供。

一番酷かったのはマルチ参加後にデスループに嵌る現象で、どこで復活してもミッションエリア外判定で即死し続けるため一切進行できず、オートセーブなのでロードし直しも不可。ニューゲームでのやり直しを強制させられた。まだ序盤だったので傷は浅かったが、これが終盤だったら心が折れる。

こういった致命的なバグが本作のマイナス点として挙げる評価も多く、筆者としても「発売延期しておいてこれか」というのが正直な感想。更にアップデートでバグが増える現象も報告されている。せめて進行不可能バグだけは直してくれると良いのだが。

PCユーザーに不親切なUIと操作感

UI

▲コントローラーなら使いやすいが・・・

筆者はPCにてキーボードとマウスを使ってプレイしているが、初見プレイ時のUIに驚いた。コンシューマー(コントローラー)でのプレイを前提に作っているためか、キーボードマウスでの操作が直感的にわからないのである。一番使うであろう左下のショートカットに至ってはどう見ても十字キーで、申し訳程度に「H」の文字。使用頻度の高い武器の切り替えは数字キー短押しか長押しで選択。長押し中は時間経過がゆっくりにはなるが、感染者に接近されている状態では選んでいる最中に齧りつかれる事も多い。

せめて武器選択に関してはホイールで一つずつ変えられたらもう少しやりやすくなると思われる。こういった細かな分かりづらさと微妙に不便な操作感で、プレイ開始直後は戸惑うことが多かった。

総評

おすすめではあるが、ファンにとっては評価が分かれる作品

冒頭で「前作プレイヤーは買い」と述べたが、正直な所プレイヤーによっては評価が分かれそうだ。何故なら前作から正当進化した点もあれば劣化した点もあるため、プレイヤーがどの要素を重要視しているかによって高評価にもなるし低評価にもなり得る。特にバグがひどいため、その点を許容できないプレイヤーにとってはかなりのストレスになるだろう。

それと引き換えパルクールの面白さや世界観は確実に進化している部分だし、今後の定期的なアップデートでバグも直っていくと願いたいので、筆者としてはおすすめしていきたいゲームである。

評価ポイントまとめ

良い点
チェックマークオープンワールドの作り込みがレベルアップ

チェックマークパルクールの爽快感は健在。新しい移動手段も登場。

チェックマーク武器防具のハクスラ要素が追加され装備掘りが楽しくなった

チェックマーク昼と夜のバランスが調整されて新要素が追加
悪い点
チェックマークとにかくバグが多い(2022年3月時点)

チェックマーク周回しづらいマルチエンディング

チェックマーク免疫力による時間制限要素

チェックマークキーボードマウスのユーザーにとって優しくないUI

ダイイングライト2のGame8スコア

総合評価
33.5点/60点
世界観 グラフィック 戦闘
(パルクール)
9.0/10 8.0/10 6.0/10
キャラクター
(ストーリー)
サウンド 快適さ
4.5/10 4.0/10 2.0/10

【総合評価】
総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。
【6項目評価】
世界観:世界観の出来栄えの参考値
グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値
戦闘:戦闘システムの面白さなどの参考値
キャラクター:キャラたちの魅力、背景の参考値
サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値
快適さ:ロード時間や操作性、運営の更新性の参考値

みんなの評価

最高傑作
9
バグが無ければ面白い
21
まあまあ
8
つまらない
28

製品情報

パッケージ版の購入はこちら(Amazon)
エルデンリングパッケージ
タイトルダイイングライト2
発売日2022527
開発元スパイク・チュンソフト
対応機種
ジャンル
プレイ人数
CEROZ

コメント

3 名無しさん

マップが広く高低差要素があるのに目的地へのルートが非常に把握しにくい。 パルクールが移動手段の要素ではなく、長く高めな難易度でのクエストクリアのアスレチック攻略要素になりさがっている。 普段は必要ない場合が多く爽快感は個人的に全くない。 行動制限やら時間制限やら複合制限に気を取られゲームストーリーに集中出来ない。 個人的に悪いゲームでは無いが所々 コレジャナイ を感じるため面白さより残念さが勝った。 前作とは別物として見た方がいい。 それでも、個人的には楽しめたものじゃないかな。

2 名無しさん

前作は2週目やったり無駄に歩き回ったりするほど面白かった。 今作はパルクールを使った何秒以内に・・が多く、自分には不向き。斜面では攻撃が出来ずかくかくなったり。ハマって再起動になったりアイテムが取れなかったり。前作そのまんまでdrc感覚で出して欲しかったのが本音。双眼鏡で周りを見て地図を作るのも面倒な作業。もっとゲームライクに作って欲しかった。自分には合わなかった。

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