ゼノブレイド3(ゼノブレ3)における、評価およびレビュー記事です。
総合評価 | ||
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47点/60 | ||
ストーリー | 戦闘 | グラフィック |
7/10 | 7/10 | 9/10 |
サウンド | 快適さ | キャラ |
9/10 | 7/10 | 8/10 |
【総合評価】 編集部が話し合いによって決める参考値です。総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。 【6項目評価】 ストーリー:物語の面白さ 戦闘:戦闘は面白いか グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値 サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値 快適さ:ロード時間や操作性、運営の更新性の参考値 キャラ:キャラクターの魅力 |
正直なところ、ゼノブレイド1、2の体験は筆者にとって退屈なものだった。戦闘やストーリーは好みがある、と言われてしまえばそれまでだが、どちらも世間の評判ほどには筆者が楽しむことはなく、極めつけはUI/UXの悪さが尾を引いた。
本作『ゼノブレイド3』は、そんなシリーズに肯定的ではない筆者ですら面白いと思わせる力があった。戦闘は1と2の要素を引き継ぎながらも、AIが賢くなったことによってコンボが簡単に繋げられるようになり、爽快感が上がった。ストーリーに関してはまだ序盤なのでどうしてもきちんとした評価はできないものの、現段階では1、2よりも好印象だ。
しかし、それよりも本作が間違いなく進化したと断言できる点は、1、2とユーザーのゲーム体験を悉く阻害していたUI/UXの改善が大きい。なぜ、戦闘後のモンスターが宝箱をドロップして毎度入手するためにAボタンを連打しなければならなかったのか、なぜ採取をするのにアイテムが飛び散らなければならなかったのか。その他様々な疑問点が本作では改善されており、ゲーム体験という意味でゼノブレイドシリーズの集大成というに相応しくなっていた。
本作の舞台となるのは「アイオニオン」という、1と2がつながる世界。1と2がつながる、というのは本作のパッケージを見てピンときたシリーズファンの方も多いはず。では、この舞台となっているアイオニオンとはどういう意味なのか。これはギリシャ語で「永遠」を意味しており、作中のムービーでも一瞬触れられる。
一方で、永遠であるはずのアイオニオンが舞台なのにも関わらず、その実情は悲惨だ。ノアやミオたちは寿命が10年と決められており、それぞれ寿命を全うすると成人の儀というものが執り行われ、女王の前で見送られるのが最高の栄誉だとされている。というのも、この世界ではノアたちが属している「ケヴェス」とミオたちが属している「アグヌス」という国が争い続けており、多くのものたちが成人の儀を迎えることなくその生命を落としてしまう。
ミオの命の刻限はあと僅か
寿命を全うできたとしても10年(公式サイトではノアやミオの年齢が18、19歳となっているので10歳の状態で生まれてくる?)しか生きられず、多くのものたちが戦場で命を散らすこの世界で、果たしてアイオニオンとはなんなのか。
瞳がウロボロスへと変化した
ところで本作のキーワードで他にもいくつか永遠に近いものがある。例えば本作の新要素である「ウロボロス」は、ケヴェスとアグヌスの陣営同士、ノアとミオが融合すると巨人になり、それをウロボロスと呼ぶのだが、そのウロボロスのモチーフは尾を飲み込む蛇で、その見た目から循環や永劫回帰とされている。他にも死と再生や、完全性という意味合いを持っており、永遠というアイオニオンと隣接する。実際、ウロボロス状態になるためのアイコンは尾を飲み込む蛇でもある。
メビウスの輪。これにより、ノアたちは世界の敵となってしまう
また、敵陣営には「メビウス」と呼ばれる巨人もでてくる。これらは執政官が巨人へと変身した姿を言うが、このメビウスというのは無限であったり、あるいはループとしての意味合いを持っており、こちらも永遠という言葉と隣接している。こうした言葉からもストーリーの先がどういうふうに展開していくのか気になってくるし、もっと言ってしまえば本作の主人公はノアだ。ノアといえばまっさきにノアの方舟が想像され、そしてノアの方舟ではノアは笛を吹いて動物たちを方舟の中に誘導する。本作におけるノアの劇中での役割は「おくりびと」だ。おくりびとは笛を吹くことで命の火時計に命を吸収されてしまった骸を弔う。
他にも、ノア・ミオたちを最初に導くことになる「ゲルニカ・ヴァンダム」にも気になる点がある。ヴァンダムさんといえばゼノブレイドシリーズではおなじみのキャラではあるが、今作では彼がノアたちに本当の敵は別にいるということを報せてくれる。そして、それを教えてくれるヴァンダムさんの名前には「ゲルニカ」が。ゲルニカといえばピカソの絵で有名で、それはスペインの内戦を描いたものだったが、描かれている場面は内戦に干渉してきたドイツ・イタリア軍による無差別爆撃だった。ということまでを踏まえてノアたちにこれからのことを示してくれたヴァンダムさんの名前を再び思うと示唆的ではないだろうか。
と、こうして序盤の段階で次々に謎が生まれてくるので、ストーリーが気になってどんどん先に進めたくなってしまう。また、これはあくまで筆者の好みであるし、まだ序盤の段階だがという但し書きではあるものの、シリーズもののなかでも本作のストーリーはかなり好みであった。単純に筆者も先が気になるので早くクリアしたい。
ケヴェス陣営
そんなストーリーを彩るキャラクターたちも魅力的だ。本作のデザインはストーリーが前作に比べても重いものとなっているため、比較すると等身が高くなっているのがわかる。露出もその世界観に合わせたためか、それほど過度なものではなくなっており、一部の紳士諸兄の方々にとっては残念かもしれないが、いい塩梅ではないだろうか。
アグヌス陣営
さらにシリーズファンなら見逃せないのが彼らそれぞれの特徴である。ケヴェス陣営であるノアは普通のホムスの外見だが、ランツはマシーナのような肌の色をしているし、ユーニはハイエンターなので1側の陣営であることがわかる。アグヌス側のミオはグーラ人の見た目だし、セナの髪の毛はどことなくカグツチを連想させる。タイオンは見た目からは分からないが、ミオ・セナにはコアクリスタルも見られるので2側の陣営だろう。
キャラたちの外見を見るだけでも、本作がゼノブレイドというシリーズをつなぐ作品であることがうかがえる。実際、公式サイトのストーリーには「未来をつなぐ命の物語」という文言が。公式サイトで読める「開発者インタビュー(外部リンク)」によれば、1は「未来のために戦う物語」で、2は「有限と永遠の命の物語」を描いたのだという。振り返って本作は「未来をつなぐ命の物語」である。1と2との繋がりは決して世界観というだけではない。本作だけでも楽しめるように作られているのは感じられるが、1と2のストーリーを少し把握しておけばより楽しめるのは間違いない。
そして本作の序盤をプレイした段階での残念な点もそこにある。ゼノブレイドシリーズはそのどれもが独立して楽しめるのはもちろんではあるものの、世界観は通底している。どの作品からでも遊べるというのは長所ではあるものの、1と2とのつながりが顕著に見える本作だけに、ゼノブレイドシリーズの概要を『ゼノブレイド3』内で事前知識として読めるようにしておいてもらえれば、シリーズファンにとっては復習にもなるし、より門戸の開かれたものとなっただろう。
さて、細かいストーリーや世界観の話をしているだけで日が暮れてしまいそうになるので、細かい点は公式ツイッターや公式サイトに譲るとし、次は戦闘について触れていきたい。
チェインアタックのキメワザ
今作の戦闘は1と2の要素をベースにしながらも、その両者の要素を上手に調和させている。例えばアーツのりキャストの概念は1では時間、2ではオートアタックの回数というように違いがあった。本作ではこれらを陣営の違いで分けており、ケヴェス陣営のクラス(ジョブのようなもの)は1の概念と同様時間で、アグヌス陣営は2の概念同様オートアタックで回復する。これは単純に差別化させるという意図だけでなく、先程触れたように両陣営のキャラクターの特徴によるところだろう。
その他例えば本作のテーマにもなっている「融合」の名の通り、アーツ同士を融合させられたり、また売りでもあるウロボロス化や、新しいチェインアタックの仕組みなど、進化した部分や新たに加わった要素などもある。特に融合アーツは「ブレイク」と「ダウン」を組み合わせれば一手でそこまで持っていけるので楽しみを増す。加えてキャラクターたちはそれぞれ「クラス」という役割を持つので、様々なパーティー編成が考えられるのも魅力だ。そして、それぞれに詳しいチュートリアルがあるので、仕様の把握もしやすい。
クイックムーブ。素早く移動が可能に
ただし筆者としては、そのような進化・追加された部分ではなく、本作において最も革新的なのはクイックムーブに感じた。。このクイックムーブはRボタン押し込みで使えるのだが、即座に納刀して短い距離をダッシュしてくれる。これによって例えばオートアタックの合間に側面や後方に移動して位置指定のアーツを繰り出すことが可能になる。1とは違い、アタック回数によってアーツがリキャストされる都合によるものだろうとは思うが、移動しながらのオートアタックは今作ではできなくなっており、加えて2のようなオートアタックキャンセルのテクニックも不可になっているので、次の攻撃の合間にクイックムーブを挟んで位置をいい感じに調整できるのは一気に戦闘の快適さが変わる要素ではないだろうか。
さらにはクイックムーブは連続で出すことも可能なので、自身をヒーラーにチェンジして倒れた仲間のところに急いで移動したり、あるいは単純に距離を取りたい場合に連発することもできる。歴代作品ではどうしても抜刀中の歩き速度が遅く、そのせいで位置指定のアーツを使うにはやや難しさがあったが、これにその点は解消されただろう。ちなみにあくまでクイックムーブであって無敵判定はないので、回避のつもりで使っても意味がないことには注意したい。
今位置指定のアーツについて触れたが、本作では位置指定のアーツに関しても改善がはかられている。戦闘画面を見てみると、アーツが表示されているところの上に、敵が今操作キャラからみてどの位置にいるかがわかるようになっている。矢印が上をむいていたら正面、左右であれば側面、下であれば後方といった具合で、今まで微妙に分かりづらかった位置把握がひと目見てできるようになったのはありがたい。特に蛇形のモンスターは後方の把握が非常に難しかったため、UI面の改善といえるだろう。
ここまでいい点を述べてきたが、全体的に面白みを増した戦闘ではあるものの、途中、ウロボロスオーダーというものが解禁されると、あまりにそれのチェインアタックが強すぎてしまうため、多少戦闘がマンネリ化してしまうのでは、という不安が生じたが、果たして。
この流れのまま、本作のUIについても触れていきたい。過去作はどうしても不便さが際立ってしまった部分があり、作品に乗り切ることができなかったのが残念な点の一つでもあった。本作は先程の戦闘中のUIの改善はもちろんのこと、採取が1のようにフィールド上にちらばっているアイテムの上を通ればできるようになったことや、敵に見つかっていても回収できるようになったのも嬉しい。さらには1であったオート移動は3にも引き継がれているが、こちらも敵に見つかってもそのまま走れるようになった。ちなみに、オート移動はLスティックを移動した状態で押し込むと走りor歩きをオートで移動してくれる。
その他、筆者が現段階でも目立って改善されたなと思った点が以下だ。他にも細かい点で改善されたなと思う点があり、ゲーム体験という面で格段に向上されている。
改善されたUI群 |
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ショートカットボタン
アクセサリー買ってそのまま装備
フォトモード
最新で拾ったアイテムを確認できる
ミニマップの回転表示
自分と敵の位置関係アイコン
ジャンプ後の着地硬直消滅
└落下ダメージ・硬直も軽減されている
水中戦闘可能(ノポン族も!!!)
改善されたチュートリアル
通常セーブが3枠ある
└オート、クイックでも分かれている
敵情報がわかるようになった(種類、怒りライン)
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ざっとあげてみただけでも以上のように様々な要素が改善されている。もちろん、全く不満がなくなったわけではないが、UIが原因でゲームに集中できないといったことはなくなった。欲を言えば移動部分はなんとかしてもらいたいが、歴代作品に比べてファストトラベル地点がかなり増えているし、前作までの移動のストレスはかなり軽減されている。
等身の高いグラフィック。遠くの敵もわかりやすい
今までストーリーや戦闘、UIといった点について触れてきたが、ゲーム最初に目にするグラフィックについても触れておきたい。本作のグラフィックは、先程キャラクターのところで軽く話したように、『ゼノブレイド2』に比べると等身が高くなっており、トゥーン調のグラフィックというのは共通しているものの等身が高くなっているのが一見してわかる。
ただし、等身が高くなったとはいえ、決してリアルすぎる風ではない。あくまで先程も書いたようにトゥーン調のグラフィックとなっており、シリーズ作品プレイヤーでも違和感なく入り込めるだろう。
イベントシーンのグラフィックにも力が入っており、特にイベント中の瞳の動きが目についた。人間の瞳は実際には細かく動いているらしいのだが、本作でも瞳が細かく動いているのが見てわかる。本作は瞳や”観る”というのもキーワードとなってきそうなので、その点にもこだわっているのかもしれない。
そうしたキャラクターのこだわりも目につくが、一番筆者が驚いたのはスムーズなゲーム体験である。本作はグラフィックにもこだわっているし、なによりパーティメンバーが常に6人以上いるのにも関わらず、動作が重くなったとほとんど感じさせないようになっている。
キャラの周囲に草がなくなっている。普通にプレイしていると気づきづらい
凄まじい開発の努力が目に浮かぶが、細かい点で気づいたことといえば、例えばプレイヤーの近くにある草木が消える。おそらくこれによって軽量化を図っているのだろうなと思うが、これは意識しないとあまりプレイヤーが気づかないというのはいい仕掛けだなと思った。おそらくユーザーの視点は常に進行方向に向かっているから、近くの小さな草花が消えたとしてもそれほど意識しないということなのだろうが、これに気づいた時は虚を突かれた思いだった。
本作でも平原は序盤から訪れることになる
ゼノブレイドといえば広大なフィールドがやはり思い浮かぶ。特に初めてゼノブレイドの1をプレイしたときのガウル平原には思い出を持っているシリーズファンも多いのではないだろうか。
『ゼノブレイド2』では探索要素にフィールドスキルというものが加わったが、正直なところゲームのテンポを阻害しているように思えて最後まで好きになれなかった。そして、本作でもそのフィールドスキルは続投している。というので少しだけ不安だったものの、蓋をあけてみれば一度使えるようになったらずっと使えるようになり、単純に探索できる場所が増えるようなシステムとなっていた。
最初に覚えられるフィールドスキルは崖登りで、これによって今まで行けなかった場所に行けるようになり、さらに世界が広がっていく。ただしどこでも登れるわけではなく、あくまでフィールドスキルなので、使える場所は限られている。一方でどこでそのフィールドスキルが使えるかはマップで確認できるようになったのもありがたくなった。秘境もフィールドスキルの解放に従っていけるようになるのだろう。
序盤段階でのインプレッションというのでも、今作が気合を入って作られており、開発者インタビューにもあるような「集大成」としてのゼノブレイドだということがわかる力作でもあった。
ウロボロスやメビウスの謎はもちろんのこと、ケヴェスとアグヌスの女王たちの謎や機神の大剣やインディヴィアの巨神獣といった過去作の要素も気になってくる。また、ゼノブレイドというタイトルが示すように、1作目ではモナド、2作目では天の聖杯、そして本作ではゲーム序盤でとある事情が語られる。これもなんらか関わってくるのだろう。
そしてもう一つ、『ゼノブレイドDE』をプレイした方には追加要素として「つながる未来」という新シナリオがあっただろう。つながる未来では霧が獣たちを狂わせていたわけだが、一方でその謎が解き明かされることはなかった。そして本作では「黒い霧」というワードが頻出してくる。果たしてこれが意味することはなんなのだろうか。
ゼノという言葉は異質なという意味合いがある英語の接頭語だ。本作もといゼノブレイドシリーズの総監督である高橋哲哉氏によれば、ゼノ――異質なものどうしのかかわり合いというものが今まで描かれていたというし、実際ゼノブレイドシリーズでも巨神界と機神界に済む人々や、さらには同じ巨神界でも異質な人々同士がいたり、2でも種族以外にも人間とブレイドという異質なもの同士が存在していた。
本作ゼノブレイド3では1と2の世界という異質な者同士がつながる一方で、ウロボロスのような一匹の蛇という存在がモチーフとなっている。1と2の世界が融合した世界であるだけでなく、そこに住むケヴェスとアグヌスの人々――ノアとミオのように――が融合し、ウロボロスとして強大な敵メビウスにも対抗できるようになる壮大な物語は、Xenoな者同士を描いてきた高橋哲哉氏にとって、開発者インタビューでも語られているように集大成としての作品であることは間違いないだろう。
まずストーリーの感想から。筆者の忌憚ない意見としては、上記の見出し通りバランス感覚がよすぎてしまったな、というのが一つ。ネタバレに配慮しなければならないので細かくは言わないが、ゼノブレイドDE、2、そして本作ゼノブレイド3それぞれに、悪が明確ではなかったという点があげられる。
このこと自体に関して苦言を呈すつもりは全くないし、時代の流れ的な部分もあるのは間違いない。昔ほど二元論的というか絶対悪のようなものが出る作品は減ってきたし、どちらかといえば多様性というのか多面性というべきか、様々な角度から物語が照らされることが多くなった。
一方でそのバランス感覚のよさともいうべきもののせいか、ノアたちが選び取る結末に、あくまで筆者にとってはだが、疑問が生じてしまう結果となってしまった。とはいえ、これはゲームが結末を出し切れていないということは意味しない。結末はきちんと出せているし、ノアたちの逡巡などは描写されているのでそれほど突飛なものだとも思わない。
どうしてもネタバレを避けなければならないという都合上、濁す形となってしまうが、筆者としてはノアたちは勝者なのだな、ということを改めて思い知らされた形となった。本作はバランス感覚がよすぎる作品である。当然、今筆者がいたことに対しても触れられているのだが、そこに触れてしまったからこそ、なんともいえず、バランス感覚が”よすぎる”という結論に至ったというわけである。
重ねて言うが、決して悪いストーリーだという意味合いで言っているのではない。だが、このバランス感覚のよさのせいか、どこかノアたちの言葉が空虚に響いてしまうこともある。そもそもが「酷い世界」であるゼノブレイドシリーズにおいて、物理的な意味で(精神的にもだが)強きものしか世界が変革できないことも重々承知してはいるものの、やはり最終的に、バランス感覚がよすぎてしまったなぁ、という感想に落ち着いてしまうわけである。ノア・ミオが強すぎてしまったのが問題なのだろうか。
戦闘については、過去作に比べて参戦キャラも増えており、そのおかげかなんとなく楽しいな、といえるものに出来上がっていた。このなんとなくというのは、特にユニークモンスターのような巨大な敵とたたかうときが顕著なのだが、敵が大きすぎてイマイチどんな行動をしているか分からないことに起因する。
また、基本的にだが、敵の行動に対してなんらかのアクションをするというよりかは、ひたすらこちらがやりたい行動を取るということに終始したものとなっていた。もちろん、敵の行動を読んで回避系のアーツを使ったりもできるが、それよりかはブレイク→ダウン→ライジングorスタンのコンボを決めて敵を行動不能にしたり、その状態でチェインアタックを決めるというのが一般的な行動だった。
加えてこちらが壊滅しそうな場合、インタリンクによって場を延命させることもできる。そこで立て直し、回復が間に合わないようであればチェインアタックで回復しつつ、さらには攻撃も兼ね備えた強力な行動を取ることが可能だ。だからこそ、なんとなく楽しい。ただよくよく考えてみるとイマイチなにをしているか分からない、というような戦闘になってしまった。
単純に筆者のゲームの腕が上手ではないということもあるかもしれないが、戦略性という意味合いではそれほどなく、こちらのやりたいことを押し付けていき、結果としてそれが最善だったりもするな、というのが感想だ。一応、本作の裏ボスともいうべきモンスターも倒したが、ヘイト管理は気にしたものの、基本的にはそれほど大差なくも感じた。
ただ、なんとなくでも楽しかったので筆者としては満足している。特にウロボロス状態の攻撃がお気に入りで結構な桁のダメージを出せるのは単純に楽しい。ただし、チェインアタックの演出がスキップできないことだけは擁護の仕様がない。
レビューの場では触れられなかったサウンドについて。筆者は非常に鈍感だったせいなのか、ノーマルモンスターとの戦闘中、流れる旋律が笛だと気づくのに若干の時間を要してしまった。非常に恥ずかしいばかりであるが、おそらくおくりびとをイメージしているのだろう、笛の旋律が、本編とは違いアップテンポで流れてノーマルの敵との戦闘でもつい聞き入ってしまった。
ちなみに、筆者が好きだったのはカデンシア地方のフィールドBGMだ。カデンシア地方は非常に広いマップで移動するだけでも一苦労ではあるのだが、このBGMのおかげで全然苦にならなかった。その他にも過去作のアレンジされたBGMなども聞けたので、シリーズファンにとっては嬉しいだろう。
ただし一点苦言を呈するなら、そのように素晴らしいBGMではあったものの、シティーでBGMを聞き続けるとプツッ、と途切れ目が分かる場面があった。比較的滞在時間が長くなりやすい場所であっただけに、それが目立ってしまってつい気になってしまった。
と、ここまで良かった点・悪かった点について本心からの感想を書いてきた。総評としては楽しめたし、実際プレイ時間も100時間を越している。が、この100時間というのは決して遊び尽くした数字ではない。まだ残っているクエストもあるし、クラスランクもあげきれていない。
実際、主要なヒーローたちのクエストだけをクリアしたとしても、100に近い数字になるだろう。それくらいボリューミーな作品で、筆者個人としてはそれほどダレずに遊びきることはできた。
一部ムービーの長さなどのコメントもあり、確かにそれについてはその通りであるとしか言えない。本作は一本ごとのムービーが長く、そこで少し集中が途切れてしまうこともあるだろう。とはいえ、感想の最初に書いたように、本作はバランス感覚がよすぎるほどの作品である。また、これには恐らくXeno(異質)ということも関わっているだろう。異質であるということは、決して理解不可能性を帯びているわけではない。だからこそ、どうしてもムービーが長くなってしまうのではないだろうか。
本作は公式で「未来をつなぐ命の物語」と銘打たれていた。実際、本作ではつなぐ、想い、たくすなどの言葉が頻出する。ここにきて筆者は、「おくりびと」は「送り人」ではなく、「贈り人」であったのか、ということに気づいた。という”想いを繋いで”本感想を締めたいと思う。
パッケージ版 | DL版 |
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価格 | 8,778円(税込) |
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ジャンル | アクションRPG |
対応ハード | 任天堂Switch |
プレイヤー | 1人 |
年齢制限 | C(15才以上対象) |
公式サイト | Xenoblade3(ゼノブレイド3) |
備考 | ニンテンドーカタログチケットと引き換え可能 |
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評価・レビュー|クリアした感想【ゼノブレ3】
© Nintendo / MONOLITHSOFT
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終盤駆け足気味だったことを除けばこのセリフ数だけでここまで深みを出せるもんなのかって驚いたクオリテイだったけどこれで酷評とかマジで言ってんのってレベル。100点とは言わないが、散々RPGやってきたけどこれが下なら大半もRPGは言うに及ばずになる