AI時代の新しいゲームの形を探求!ReLU Gamesの挑戦
効率化だけじゃない!「面白さ」を追求するためのAI活用術

▲イ・ギムン氏。

▲アン・ジェホン氏。
『KRAFTON x ReLU Games』による注目の開発トークセッションの模様をお届けする。
現在、どの業界でも「AI」の話題で持ちきりである。しかし、その多くは「どれだけコストを削減できるか」「どれだけ効率を出せるか」といった内容になりがちである。そんな中、ReLU Gamesは「AIでゲームをどうやってより面白くするのか」という、クリエイターとして一番大切な問いに真正面から向き合っている。

同社は「AIは依然として人の代わりにはなれない『ツール』であり、どう使うかは私たち次第。良いカメラがあっても、良い映画を作るには良いストーリーが必要なのと同じだ」と定義する。すでにAIを活用した3本のゲームをリリースしており、ヒット作を生み出すために数え切れないほどの失敗とプロトタイプを重ねてきた彼らの努力が開発トークで語られた。
社内プラットフォーム「Nollan」と「Seed」がもたらした意識の変化
誰もが手軽にゲームを公開・改良し、失敗を資産に変える空間

セッションで特に印象的だったのが、社内プラットフォーム「Nollan(ノーラン)」である。韓国語で「遊ぶ(ノル)」と「空間(ラン)」を掛け合わせたこのシステムは、作ったゲームのソースコードをアップロードするだけで、モダンAIが自動でビルド・配布を行ってくれる。

また、同社ではアイデア提案書ではなく、「Seed(シード)」と呼ぶプロトタイプから開発を始める。これまでに114件のSeedを制作してきたが、その最終成果物はゲームのビルドではなく「レポート」である。プレイヤーが実際に行った出来事や「なぜ面白くなかったのか」を蓄積することで、徐々に面白さの命中率が高くなるシステムを構築している。
「サーバーエンジニアに頼むのが申し訳ない」という心理的ハードルがなくなり、バグがあっても早期公開できるようになったことで、社内の意識は劇的に変わったという。
開発の「待ち時間」をなくし、客観的な視点を与えるAIエージェントたち
「GPN」と「MAGI」がクリエイターを全力サポート

ライブサービスを支えるシステム「GPN」も、開発現場の負荷軽減に大きく貢献している。ユーザーからのバグ報告をAIが自動翻訳し、ログを分析して最適な担当者を瞬時に割り出してくれる。これまで発生していた「伝言ゲーム」や「待ち時間」が大幅に削減される画期的な仕組みだ。

そして、ゲームの企画書を多角的に評価するAIエージェント「MAGI(マギ)」の存在も驚きであった。MAGIはゲーム企画書を受け取ると、「プレイヤー視点」「開発ディレクター視点」「市場専門家視点」という複数の観点からフィードバックを送り、それら3つの意見をまとめたレポートを出力してくれる。人間ではどうしても主観が入ってしまう評価をAIがバランス良く行うことで、デザイナーは新しいひらめきや洞察を得ることができる。
人間らしさと不信感のバランスを探る『MIMESIS』の開発
小さなAI技術の積み重ねが、プレイヤーをゲーム世界に引き込む

セッションの中盤では、AIを活用したタイトル『MIMESIS(ミメシス)』の開発秘話も語られた。本作において最も重要視されたのは、「プレイヤーに(AIキャラクターを)仲間と認識してもらうこと」である。

開発チームは、SNS等で様々な動画をシェアする人々の反応を観察し、同じパターンに陥らないよう、動きや視線、話し方などを極めて人間らしく見せる工夫を重ねた。しかし、ただリアルにするだけでなく、「不信を生み出す状況」を豊富に用意し、プレイヤーを騙す時間と疑う余地を残すバランスが重要だったという。これは最新の巨大なAI技術に頼り切るのではなく、小さなAI技術を駆使して課題を一つ一つ潰していくことで実現された。
現在は行動のバリエーションを増やすアップデートを行っており、今後はゲーム全体のコンテンツ拡張や、プラットフォームの拡張も検討中とのことだ。
ファミ通グループ代表・林克彦氏との対談で見えた日本市場の熱量
配信文化が後押しした200万本突破と、正式リリースに向けた決意

後半では、30年以上にわたり日本のゲームの歴史を見守ってきたファミ通グループ代表の林克彦氏を迎え、熱い対談が行われた。
話題は、累計200万本を突破した同社のタイトルの市場動向に及んだ。Steamでの売上を比較すると、意外にも日本がトップであり、次いでアメリカ、ロシア、韓国と続くという。特に特定の地域を狙ったわけではないが、日本のVTuberやストリーマーたちによるゲーム配信が爆発的な人気を呼び、大きな伸びにつながった。
開発陣は「日本のゲームファンは結果だけでなく『過程』を楽しんでおり、リアクションが大きい。切り抜き動画で多くの人に見てもらえる文化が活発なことも要因だろう」と分析している。
また、2年前から開発を開始し、約1年という短期間でアーリーアクセスに漕ぎ着けたことについては、「AIのおかげだけではなく、根底に確かなゲームカルチャーがあったからこそ早く進んだ」と語った。Seedの段階では「音声で呪文を唱えて魔法のステッキを作るゲーム」など、意図通りに動かず失敗したアイデアも数多くあったという。
今後の正式リリースについては、「現状はコンテンツ量が不足しており、すべての面で足りていない。今年1年間はクオリティを引き上げ、繰り返し遊んでも楽しいゲームを目指す。コンソール(CS)版も開発中であり、もっと面白いゲームになってから正式発表したい」と力強く語った。
最後に、「日本プレイヤーの皆様に興味を持っていただけて嬉しい。CEDECでの受賞も本当に光栄であり、AIを使った我々の挑戦を知っていただけたことに改めて感謝を申し上げる」と締めくくり、セッションは盛況のうちに幕を閉じた。
AIとクリエイティビティが交差する、未来のゲーム体験へ

AIの話題というと「業務の効率化」や「コスト削減」ばかりに目が行きがちであるが、ReLU Gamesのように「ゲームをどう面白くするか」というエンタメの根幹にAIをフル活用している姿勢には大いにワクワクさせられた。
特に、失敗を恐れずにプロトタイプ(Seed)を制作し続けることができる「Nollan」の仕組みは、クリエイターが自由に遊び心を発揮できる素晴らしい環境である。
また、日本市場におけるVTuberやストリーマーの配信文化が、海外タイトルの大ヒットにこれほど大きく貢献しているというエピソードも、普段からゲームコミュニティを見ている身として強く共感できるものであった。
これからもAI技術とクリエイターの熱量が合わさることで、私たちが想像もできないような新しいゲーム体験が生まれてくるのが楽しみで仕方がない。
『イベント概要』
イベント名:『KRAFTON x ReLU Games』開発トーク
登壇企業:KRAFTON / ReLU Games
主な内容:
・AIを活用したゲームデザインと「面白さ」の探求
・社内プラットフォーム「Nollan」とプロトタイプ「シード」の紹介
・AIエージェント「GPN」「MAGI」による開発体制の最適化
ⓒ 2026 KRAFTON, INC.
[取材協力]:KRAFTON
Edited by : ゲーム山本
ゲームエイトの編集チームです。ゲームに関する最新攻略情報・ニュース・レビューを日々お届けしています。






















