【インタビュー】ストリーマーはゲームプロモーションの「インフラ」へ。『CastCraft』が創り出す熱狂的コミュニティと新たなゲームPR戦略
取材・インタビュー

【インタビュー】ストリーマーはゲームプロモーションの「インフラ」へ。『CastCraft』が創り出す熱狂的コミュニティと新たなゲームPR戦略

schedule2026.08.07 12:01editゲーム山本 / いっしー

今回は、月間約15,000人ものアクティブ配信者を束ねる配信支援ツール『CastCraft』を展開する、ミラティブのグループ会社である株式会社キャスコードの代表取締役・中川翔太氏にインタビューを実施しました。東南アジアでのベンチャーキャピタル(VC)経験から導き出された独自のプラットフォーム戦略や、共同創業者の実体験から生まれた「濃いコミュニティ」の価値、そしてストリーマーが「KOC(Key Opinion Consumer)」となる未来像について、たっぷりと深掘りしてお話を伺いました。

東南アジアのVC経験で学んだ、マーケットプレイスの要「ハードサイド」戦略

━━まずは読者の皆様に向けて自己紹介をお願いします。
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【中川翔太氏(以下、中川氏)】
株式会社キャスコード代表の中川と申します。

私のキャリアのスタートは、東南アジアでのベンチャーキャピタル業務で、大学の同級生が入社式を受けている日に「インドネシアのバンドンに行ってくれ」と言われて、そのまま現地に向かったんです。バンドンってどこだろうと思いつつ、現地へ向かったのを覚えています。

その後、約8年間、東南アジア地域をメインにベンチャーキャピタルでの投資業務を行なっていました。

━━その投資経験が、現在のビジネスにどのようにつながっているのでしょうか。

【中川氏】
そこで学んだ最大の教訓が、「マーケットプレイスにはハードサイドがある」ということです。あらゆるマーケットプレイスには「売り手」と「買い手」が存在しますが、必ずどちらか一方の「集めるのが圧倒的に難しい側(=ハードサイド)」が存在します。

ここをいかに効率よく束ねるかがビジネスの勝敗を分けます。最初から両方を同時に集めようとするとハードルが非常に高いため、まずはこのハードサイドに向けた便利なツールを提供して囲い込み、その後にネットワーク化して流通を生み出す「ツール・トゥ・マーケットプレイス」という手法が極めて有効になります。

そして、ゲームのプロモーションも、配信してほしい「ゲーム会社」と、配信でコミュニティを持つ「ストリーマー」が出会うマーケットプレイスとして捉えられます。この考え方が、2018年に立ち上げたキャスコードの原点にもなっています。

━━ゲーム業界において、その「ハードサイド」にあたるのがストリーマーということですね。

【中川氏】
おっしゃる通りです。ゲームのコミュニティ市場において、圧倒的なハードサイドは「配信者」です。

だからこそ私たちは、いきなりプラットフォームを作るのではなく、まずはストリーマーの皆様に『CastCraft』を便利な配信支援ツールとして使っていただき、基盤をひたすら集めていくビジネスからスタートしました。

マグロ漁船のリスナーも? 共同創業者の配信から見えた「濃いコミュニティ」の真の価値

━━『CastCraft』は具体的にどのような機能で配信者を支援しているのでしょうか。
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【中川氏】
一言でいえば、「視聴者とのコミュニケーションを円滑にし、居場所を作るためのツール」です。

配信には毎日多くの方が入れ替わり立ち替わり来られますが、中には以前も来てくれたのに「初見です」とコメントするリスナーさんもいます。ストリーマー側も全員の顔や名前を完璧に記憶するのは難しいため、過去の来訪履歴やリスナーの情報をツール側で認識・管理するサポート機能からスタートしました。

画像▲初見や常連を一目で判断

さらに、コメント欄を配信画面に表示させたり、投げ銭の金額に応じた特別なエフェクトを出したりと、配信の画面作りからリスナーとの深いコミュニケーションまでを包括的にサポートしています。

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画像▲配信コミュニケーションを演出に変える
※公式サイトより引用

━━なぜそこまで「コミュニケーション」に特化させたのでしょうか。

【中川氏】
この発想の原点は、僕の共同創業者の経験にあります。彼とは10年来の付き合いで非常に優秀なエンジニアなのですが、普段はすごく口下手で「およそ配信なんてするタイプじゃない」と思っていました。ところがある日、「実は毎日ゲーム配信をやっていて、50人くらいの常連が来ている」と言うんです。

詳しく聞いてみると、集まっているのは住む場所も年齢もバラバラの方々でした。マグロ漁船に乗っている方もいると聞いてびっくりしたのを覚えてます。最初は配信を荒らしてしまうような人もいたそうですが、彼はそのリスナーたちの情報をしっかりと覚え、受け入れてあげたそうです。そうして自己開示を促していくことで、そこが彼らの「馴染める居場所」になっていったんです。

リアルでは交わらない人たちが、ゲームという共通の趣味で集まり、濃密な時間を一緒に過ごしている。この「規模を問わず、熱量の濃いコミュニティを量産する価値」をシステムで拡大したいと考えたのが、『CastCraft』を作ったきっかけです。

案件終了後が本番。「継続配信」の可視化と、売り切り型ゲーム向けの3段階新プロモーション

━━数あるPRサービスの中で、ゲーム会社様から最も評価されている強みは何ですか。
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【中川氏】
従来のインフルエンサーPRとの最大の違いは、「案件終了後も、どれだけのストリーマーが自発的に継続配信してくれているか」をデータで可視化できる点です。従来のインフルエンサーPRは、「単発の配信で何回再生されたか」という一過性の指標だけで価格が決まることがほとんどです。

しかし、本来大切にすべきなのは「キャンペーンをきっかけにゲームを本当に好きになり、自分のコミュニティで遊び続けてくれる人たち」ですよね。私たちはその継続データをすべてゲーム会社様にフィードバックできるため、一過性の認知で終わらせないプロモーション設計が可能です。

━━その「継続」を軸にした設計を、売り切り型ゲームにも広げる新たなプロモーションを立ち上げられたそうですね。詳しく教えてください。

【中川氏】
従来の売り切り型ゲームにおける初期プロモーションの選択肢は非常に狭まっていると感じており、新しい3段階のアプローチを立ち上げました。

まず、ゲームに関心のあるストリーマーを募り、配信の義務化や強要は一切せず「遊んでみてくださいね」というスタンスでゲームを提供します。

次に、実際に配信していただいた方の中から、進捗状況、配信時間、コメント数などの熱量データを分析し、特にゲームにハマってくれた方を絞り込み、追加コンテンツを付与して配信を続けてもらいます。最終的に、優れた結果を出したトップストリーマーを公式から紹介してもらう。

これにより、開発会社やパブリッシャー側にとっても、自社タイトルを本当に愛し、熱量高く配信してくれるストリーマーを自然な形で発掘・育成することができます。

参照:プレスリリース「CastCraft、売り切り型ゲーム向けの新プロモーション施策を提供開始 ─ タイトルの顔となる配信者を生み出す」

月間約1.5万人の「面」の力と、トップ×テール層の緻密なシナジー設計

━━ここまで「継続」を重視した施策を伺いましたが、一方で、爆発的な認知拡大が必要なリリースフェーズなどでは、どのようなアプローチが有効ですか。

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【中川氏】
現在、『CastCraft』には月間約15,000人のアクティブなストリーマーがおり、配信のたびにツールを利用してくださるため非常に利用頻度が高い(月10回以上)という特徴があります。

特定のトップ層を狙い撃ちして個別にオファーをかけるだけであれば他社さんでも可能ですが、この圧倒的なボリュームの「面」を一気に押さえて認知を広げる施策こそ、僕らが最も得意としている領域です。

━━月間約15,000人という基盤は、一朝一夕には築けない規模だと思います。どのように積み上げてこられたのでしょうか。

【中川氏】
正直、何かかっこいい打ち手があったわけではないんです。一気に伸びた時期もあれば、止まった時期もあって、本当に少しずつ少しずつ積み上がってきました。

ここに至るまでは、ストリーマーの方々に定期的にインタビューをさせていただき、配信の悩みを聞きながら「この人たちにとって何が大事なんだろう」と考えて、機能改善を地道に重ねる。ひたすらこの繰り返しですね。

━━その約15,000人の中には、影響力のあるトップ層から、熱量の高い中堅(テール)層まで幅広いストリーマーがいらっしゃるかと思います。それぞれの層の強みは、どのように生かされているのでしょうか。

【中川氏】
実は『CastCraft』の機能も、ストリーマーの規模によって綺麗に棲み分けができています。

例えば、トップ層は「投げ銭を読み逃さないための既読管理機能」を重宝し、テール層は「コメントを見落とさないための音声読み上げ機能」をメインで使用するといった具合です。

これをゲーム会社様向けのキャンペーン設計にも応用し、「数字を出すトップ層に向けたランキング形式の報酬」と、「配信時間などコツコツ盛り上げてくれるテール層への努力報酬」を組み合わせた、2段階のキャンペーンを検討・仕込み中です。トップ層の「拡散力」とテール層の「継続的な熱量」が、綺麗にシナジーを生み出す仕組みを作っていきたいと考えています。

視聴者を自然に巻き込む「雑談からの移行」と、休眠ユーザーへの復帰アプローチ

━━ストリーマーを起点にゲームの認知を広げるお話を伺ってきましたが、次は配信を見ている視聴者を「自分もゲームをプレイしたい」と巻き込むための具体的なアイディアについて教えてください。
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【中川氏】
すでに実行しているインセンティブ付与(毎日配信を見に来ることでアイテムを獲得できる等)に加えて、有効なのが「雑談からの自然な移行」です。

ストリーマーのファンは、まず配信者との交流や雑談を目的に集まります。最初から「今日はこのゲームをやります!」とガチガチに固めると、未プレイの人は入りづらさを感じてしまいます。だからこそ、まずは普段通りの雑談で場を温め、その流れで自然にゲームを始めることで、「自分もやってみようかな」と未プレイの視聴者もスムーズに巻き込むことができるんです。

また、コミュニティの熱量は「視聴時間とコメント数のバランス」で測っています。視聴時間に対してコメント数が大幅に多いチャンネルは、特有の高い熱量を持っていると判断できます。

━━ 一度離れてしまったユーザーへの復帰アプローチはいかがでしょうか。

【中川氏】
『CastCraft』なら「過去にそのゲームを配信していたけれど、最近は配信していない人」をシステムで把握できます。そのため、大型アップデートや周年イベントの際に、プロダクト内から直接「もう一度プレイしてみませんか?」とアプローチすることが可能です。

案件が一部のトップ層に集中しがちな現状において、こうしたお祭りに参加したことがないストリーマーさんは多いため、復帰ストリーマーの方々からはめちゃくちゃ感謝されますね。結果として、ゲームへのロイヤリティが非常に高まるのを実感しています。

未来のストリーマーはプロモーションのインフラ「KOC」になる

━━今後のゲーム会社とストリーマーの理想的な関係や、目指す未来像についてお聞かせください。
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【中川氏】
これからのストリーマーは、ゲームプロモーションにおける「インフラ」になると考えています。

広く浅く拡散する「KOL(Key Opinion Leader)」ではなく、「KOC(Key Opinion Consumer)」——つまり、実際に商品を使い込み、リアルな発信で周囲に影響を与える消費者です。ストリーマーはまさに、誰よりもゲームを愛し使い込むKOCだと考えています。今後はKOCである彼らを味方につけ、共にゲームへのファンコミュニティを作っていく目線が必要です。

海外の大手広告プラットフォームには、どのクリエイターにいくら投じれば、どの程度の投資対効果が見込めるかを、出稿前に予測できる仕組みがすでに存在します。

将来的には、同じことがゲームのストリーマー起用の世界でも実現できるはずです。私たちは、ゲーム会社様のそうした意思決定をデータとコミュニティの力で支える存在でありたいと考えています。

そしてこれは、ゲーム会社様のためだけの話ではありません。今は一部の有名なストリーマーに案件が集中しがちですが、マッチングの精度が上がれば、知名度に関係なく、そのゲームを本当に愛し、コミュニティを育てているストリーマーにこそ機会が届くようになります。それが、配信を続ける一人ひとりが正当に評価される環境につながると考えています。

配信を続けるすべての人が主役。ストリーマーが「輝ける場所」を目指して

━━最後に、この記事を読んでいるストリーマーの方々や、読者へ向けてメッセージをお願いします。

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【中川氏】
ストリーマーの皆さんには「毎日配信して誰かの居場所を作っているあなたたちこそがヒーローだ!」と伝えたいです。画面の向こうの誰かにとって、配信がかけがえのない居場所になっている。その日々の積み重ねは本当に素晴らしいことだと思っています。

だからこそ、まだスポットライトが当たっていないストリーマーの方々も含めて、一人ひとりが輝ける場所を用意していくことが、私たちの役割だと考えています。

読者の皆様も、ぜひ『CastCraft』を通じて配信者と深く繋がり、ゲームがもっと楽しくなるコミュニティの未来に期待していてください。

━━本日は、貴重なお話をありがとうございました!

『CastCraft』について

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「CastCraft」は、月に1.5万人以上のYouTube/Twitchストリーマーに利用されている配信支援ツールです。※1

配信をもっと盛り上がるものにするために、コメント表示や読み上げといった配信支援にとどまらず、配信のネタになるコンテンツや視聴者が思わず参加したくなる仕組みを、これからも次々と提供していきます。

※1 アクティブ配信者:当サービスを当月に一度でも活用して配信を行った配信者数(2026年3月時点)

ミラティブグループとしての位置づけ

2025年12月に東証グロース市場へ上場した株式会社ミラティブは、「All for Streamers」を掲げ、VTuber/ストリーマーを含む、あらゆるプラットフォームで活動するすべての配信者を支援する企業グループとして、資本業務提携やM&Aも活用し、配信者支援の領域を拡大しています。

この中で株式会社キャスコードは、配信支援ツール「CastCraft」の提供を通じて、配信者と視聴者のコミュニケーションを活性化し、より没入感の高い配信体験を実現する役割を担っています。今後はミラティブのアセットとの連携を進めながら、YouTubeやTwitchなど多様なプラットフォームにおける配信体験のさらなる進化を目指しています。

『株式会社キャスコード』の会社概要

社名:株式会社キャスコード 設立:2018年3月 『株式会社キャスコード』公式サイト:https://cascord.com/ 『CastCraft』公式X:https://x.com/cast_craft 『CastCraft』公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCb6O9mSBrqD9nz1gH5QMLiQ

© Cascord Inc.
※リリースより引用

[取材協力]:株式会社キャスコード

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