
【インタビュー】KRAFTONが手掛ける新作ライフシム「inZOI」のディレクターに直撃インタビュー!「inZOI」の魅力やこだわりポイントを余すところなくご紹介!
代表作に『PUBG: BATTLEGROUNDS』を持つ、韓国のビデオゲーム開発企業『KRAFTON』。今回はそんなKRAFTONが手掛ける新作ライフシム『inZOI』のディレクターに直撃インタビューを行った。リアルなグラフィクスや独自の奥深いシミュレーションにより、リリース前から注目を集める本作の魅力を少しでも伝えられればと思う。

inZOIの魅力とは?ライフシムを楽しむ3つのポイント
ーー本日はよろしくお願いいたします。まずはinZOIがどんなゲームになっているかについて、お聞かせいただけますか。
キム・ヒョンジュン氏(以下、キム氏):inZOIのプロデューサー兼ディレクターを務めるキム・ヒョンジュンです。

inZOIではキャラクターをクリエイトし、家を建て、夢の人生を送り、様々な感情を体験できます。『ザ・シムズ』に代表されるようなライフシミュレーションゲーム(以下、ライフシム)になります。私自身、シムズの大ファンで、長年プレイしてきました。inZOIの制作においてもシムズからインスピレーションを受けた部分は非常に多く、シムズの開発陣からアドバイスをいただく機会もありました。
ーーなるほど!実はシムズは少し遊んだことがあるんですが、デザインが見慣れなかったり、プレイの目標が分からず、なかなか続きませんでした...
キム氏:inZOIで最初にぶつかった壁はその問題です。ライフシムはアジア圏向けに展開されているタイトルがほとんどなく、受け入れてもらうのに時間が掛かります。アジア圏で人気のタイトルのほとんどは、ゲーム内にミッションやクエストなどの目標が設定されていて、何をすれば良いかが明確です。その点、ライフシムは良い意味で少し変わったゲームで、何が面白いかが分かりづらくなっています。開発に際し、会社を説得するのもかなり大変でした(笑)。
ーーキムさんはライフシムのどんなところがお好きなんでしょうか?
キム氏:ライフシムには3つの面白いポイントがあると思っています。inZOIで実際にできることも含めて、お話していきます。

まず1つ目は、ロールプレイです。inZOIには約300人のZOI(=NPC)が居ます。ZOIはそれぞれ異なる思考と感性を持っており、趣味嗜好にも違いがあります。例えばあるZOIは歌を歌ったり、絵を描いたりと創造的な活動を好むとします。でももちろん、そういった活動を一切行わないZOIも居ます。これは現実世界の人間と同じで、ユーザーがコントロールできる要素ではありません。ユーザーはZOIと交流し、歌を歌う姿を見かけることで、このZOIは歌が好きなんだ!ということが少しずつ分かってきます。
シムズとinZOIの大きな違いとして、シミュレーションの範囲が挙げられます。シムズではユーザーが見ている範囲のみがシミュレーションされますが、inZOIではユーザーが見ていない・関わっていない範囲もシミュレーションされます。例えば、プレイヤーが友達の家に遊びに行ったとします。しかしその友達は、以前町でちょっとした騒ぎを起こしていました。そうするとプレイヤーは何も悪いことをしていないのに、周りの人からちょっと変わった目で見られたりするんです。

都市の設定の充実も、inZOIならではの特徴と言えます。都市にも性格のようなものがあり、「フレンドシップ」や「ロマンチック」など、様々なパラメータを0〜100まで調節することができます。ロマンチックを100にすれば、沢山の恋が育まれる都市になるイメージです。
ユーザーはこういった社会の中で、様々なテストを楽しむことができます。例えば、子供は何十人まで作ることができるんだろうとか、それができたらこの都市はどうなっていくんだろうとか。もちろん、時には悪役に成り切って遊んでみるのもありです。このゲームは我々開発側が設定した目標やミッションに向けて進んでいくのではなく、自由な状況の中で様々なことを試してみるのが、一番の面白さになると考えています。
ーーまったり普通の生活を楽しめるうえで、ゲームならではの悪逆非道の生活を楽しむこともできるんですね...!他の魅力もお願いいたします。

キム氏:2つ目の魅力は、キャラクタークリエイトです。inZOIではかなり細かい部分まで調整が効くようになっており、思い描く通りのキャラクターが作れるようになっています。以前、キャラクタークリエイトのみを体験できる『inZOI: Character Studio』を公開していたんですが、没頭するユーザーさんが大変多くいらっしゃいました。社内では私を模した顔から少しずつ調整して、「面影はあるけど変な人」を作る遊びが流行っていました(笑)。
3つ目の魅力は、建築です。こちらも細部まで作り込まれており、理想やこだわりを思う存分詰め込むことができるかと思います。

例えばこのような形で、本当に自由度が高く、思い通りに建築を進められます。今は約1,500のアイテムが実装されていますが、リリース時にはこれを2,000まで持っていくのが目標です。この建築要素は一見コアな要素に思えるかもしれませんが、キャラクタークリエイト同様かなりファンが多く、好きな方はこの要素だけでもお楽しみいただけるかと思います。その一方で、この建築が大変だと感じる方もいらっしゃると思うので、プリセットも充実しています。プリセットから自分好みに調整するのも良いと思いますし、初心者の方にも優しい設計を意識しました。
また、inZOIならではの特徴的な機能として、3Dプリント機能が挙げられます。写真をAIに読み込ませれば、それを3Dに落とし込み、ゲーム内に飾ることができるんです。例えば、普段身に付けている帽子の写真を撮って、AIに読み込ませるとします。するとAIがそれを帽子として認識して、ゲーム内のキャラクター、イコール自分の分身に被らせることもできてしまうんです。この辺りは特に力を入れた機能で、いちユーザーとして見てもプレイしたいと思える、素晴らしい仕上がりになりました。
ここまでが大まかなゲームのシステムやこだわりになりますが、まだ半分も説明できていないかなというところです。
ーーありがとうございます。お話を伺っているだけで、すごくワクワクしてきます...!本当に色々なことができるということでしたが、ゲームの中だからこそ体験できるイベントなどはありますか?
キム氏:特徴的なものとして、「幽霊」のシステムが挙げられます。たくさんの悪事を働いたZOIは成仏せず、幽霊として都市に残り続けるんです。都市に幽霊が増え続けると、子供が産まれづらくなったりなどのデメリットがあり、都市全体に影響をもたらします。
ーーなるほど...はじめは悪役プレイに徹しようかなと思ってたんですが、神様は見ているということですね(笑)。
細部までの強いこだわりは「ライフシムをアジア圏への浸透させたい」から
ーー制作についても、いくつかお伺いできればと思います。「300人のZOIは、400種類以上の思考・感情・行動の組み合わせに基づいて行動する」ということですが、このような膨大なデータをどのようにしてゲームに落とし込んでいったのでしょうか。

キム氏:ZOIの性格データは、心理学の研究資料をベースに収集しています。学問的に説明されている資料から、一人一人の性格や思考の深度を分析していきました。
その中でも特に難しかったのが、それぞれの感情の振り幅です。例えば怒りの感情の場合、怒り90%・楽しさ10%と怒り10%・楽しさ90%とでは大きく異なります。後者の場合、本当は怒りの感情が入っているのに、楽しさだけが目立つ形です。他人から分からないのはもちろんですが、場合によっては本人でさえも自分の怒りの感情に気付いていない場合もあります。そういった感情についても、資料の収集や各所からのアドバイスを通して、上手くゲームに落とし込むことができたと自負しています。
ーー本当に細かい部分まで作り込まれているんですね。先ほどインタビュー外でお伺いしたお話ですが、これで開発を始めて2年しか経っていないということで、大変驚きです...!作り込みにあたり、感情の設計以外で難しかったポイントはありますか?

キム氏:ここははじめにも挙げた通り、文化の違いかなと思います。シムズが西洋圏と比べるとアジア圏ではいまひとつ浸透していない理由の一つに、文化の違いがあると分析しています。inZOIでは韓国開発の強みを活かし、我々アジア人を含めた全文化圏に受け入れてもらえるような文化を落とし込んで設計しています。例えばシムズでは家に土足で上がりますが、inZOIでは靴を脱いで上がります。その他にもユーザーのフィードバックなども参考に、太っている住人の数を調整したりして、よりリアルに感じていただけるような設計を進めています。この部分以外でもフィードバックは大変参考にしていて、例えばキャラクタークリエイトでネイルを細かく調整できるようになったのも、ユーザーのフィードバックが元だったりします。
ーーやはり「ライフシムのアジア圏での浸透」は今作の一つの大きなテーマになっているんですね。一つの都市の中で起きる物語だからこその難しさもあったのではないかと思います。それでは、最後にもう一つ質問させてください。inZOIでは「死」まで体験できると目にしました。ここまで表現するゲームはなかなかない中、どのような経緯で「死」までプレイできるようにしたのでしょうか。
キム氏:「死」までが「人生」だからです。ZOIがいつまで生きるのかをプレイヤーは一切決められず、事前に寿命を見ることももちろんできません。実際に自分がプレイしていてあった出来事として、喧嘩して家出した自分の娘が、そのまま交通事故で亡くなってしまいました。すごく後悔すると思うんですが、それが人生です。苦しく、辛い要素ですが、それがinZOIならではの面白さでもあると考えています。また、死のパターンも30種類以上が用意されています。死んでしまった際はロールバック機能もありますが、運命的な死については、ロールバックしても結末が変わらないものもあります。
ーー「ゲームだから」で片付けず、辛い部分も再現されているところに強いこだわりを感じます...!本当にたくさんの遊び方がありそうで、リリースがより一層楽しみになりました。本日は本当にありがとうございました!
キム氏:ありがとうございました!
『inZOI』の概要

[取材協力:KRAFTON]
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