2026年、ついにベールを脱いだ『オーバーウォッチ』史上最大規模のアップデート。新ヒーロー5体の同時実装、1年を通じた”起承転結”のある物語展開、そして10年ぶりに刷新されるUI/UX。本作が目指す正当進化の真髄を訊くべく、開発首脳陣にインタビューをすることに成功した。
新ヒーロー5体同時参戦の衝撃!今後のシリーズ展開を占う最大級の変化が待っている

▲左からScott氏、Kenny氏、Alec氏。
5ヒーローそれぞれの”唯一無二”のプレイスタイル
ーー今回のアップデートでは5体ものヒーローが同時実装されます。既存ヒーローと役割が重ならないよう、かなり特色を出す必要があったかと思いますが、デザイン面でのこだわりを教えてください。
Alec氏:まず大前提として「5人全員のプレイ体験を全く異なるものにする」ことを目指しました。 1人目の「ドミナ」は、空間支配を得意とするポーク型タンク。2人目の「エムレ」は、操作の”とっつきやすさ”を重視し、新規プレイヤーでも即座に活躍できるライフル使いです。
3人目の「アンラン」は、リスクを恐れず飛び込むダイブ型ヒーロー。4人目の「ジェットパック・キャット」は、回復だけでなく味方の位置を制御する戦略的コミュニケーションを軸にした、未知の体験を提供します。
そして5人目の「ミズキ」は、ダメージとヒールのハイブリッド。ルシオのように前線で常に動き続けるテクニカルな立ち回りが求められます。日本モチーフにふさわしい「鎖鎌」を武器に選んだのも、こだわりのポイントですね。
7年越しの夢、実装された”猫”の秘密
ーー「ジェットパック・キャット(猫)」についてですが、実際にプレイすると視線誘導や敵への攪乱(かくらん)性能が凄まじいと感じました。これは狙い通りでしょうか?
Scott氏:その通りです。猫の最大の特徴は、自分と味方、両方のポジショニングを同時に管理できる点にあります。高い機動力で敵の視線を逸らしては素早く離脱する…。攪乱という意味ではトレーサーに近いかもしれませんが、それを「味方を回復しながら行える」のが、猫ならではのユニークな立ち位置です。
ーーこのキャラクターのインスピレーションはどこから来たのでしょうか?
Kenny氏:実は、開発コミュニティでは7〜8年も前から議論され続けてきた存在なんです。コンセプトアートはずっと壁に飾られていました。今回の一挙に5体出すと決まった際、満場一致で「1体は猫にしよう!」と決まりました。空を飛び続ける操作性のバランスや世界観への落とし込みなど、チームにとっても非常に大きな挑戦でしたね。
ーースキルで味方を吊り下げて運べるので、戦術の幅が広がりそうです。キャスディの「デッド・アイ」と組み合わせるのも面白そうですね。
Scott氏:ええ、非常に強力なコンボになるはずです。アッシュの「ボブ」を運ぶこともできるので、ぜひ色々な組み合わせを試してみてください!
「ミズキ」のアルティメットと日本のアニメ文化
ーー日本モチーフのヒーロー「ミズキ」のアルティメットは、まるで日本のアニメの必殺技を彷彿とさせますが…。
Alec氏:(笑)そうですね。外部からの干渉を遮断し、内部の味方を強化する形を模索する中で、おっしゃる通り日本のアニメからインスパイアされた部分は確かにあります。
Kenny氏:単にヒールするだけのサポートにはしたくなかったんです。パッシブについても、ルシオのオーラとザリアのエナジーの”いいとこ取り”をしたような、スピリチュアルかつエネルギッシュな手応えを感じていただけると思います。
ーーこれまでの日本人ヒーロー(ゲンジ、ハンゾー、キリコ)と違い、ミズキには”壁登り”がありません。これにはどのような意図が?
Alec氏:「日本人だから全員壁を登れる」という固定観念を壊したかったんです(笑)ミズキ独自のスキルキットを確立させるため、あえて壁登りは外しました。彼だけの独立したプレイスタイルを楽しんでほしいですね。
初心者や復帰勢にとって”今”が最適な理由
ーー一度にこれほど多くの要素が追加されると、ゲームが複雑になりすぎて新規プレイヤーが入りにくい懸念はありませんか?
Alec氏:むしろ逆だと考えています。これだけ大きな変更が入ると、ベテランプレイヤーも一度”学び直し”が必要になります。メタ(最適解)が決まっていない混沌とした時期こそ、誰もが同じスタートラインで試行錯誤できる、最高のタイミングなんです。
ーー最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
Alec氏:日本のコミュニティの情熱には、いつも感謝しています。この新しい5人が皆さんの手でどう使いこなされ、どんな驚くべき戦術が生まれるのか、今から楽しみでなりません。ぜひ、戦場でお会いしましょう!
1年を通じた起承転結と、700行の“鳴き声”に命を吹き込んだ「猫」の正体

▲左からScott氏、Miranda氏。
アンランの実装は「必然」だった? 過去の物語とのリンク
ーー新ヒーロー「アンラン」についてですが、以前「ウー・ヤン」の登場時にも背景に描かれていましたね。当時から実装の構想はあったのでしょうか?
Miranda氏:最初からこの時期にと決めていたわけではありません。ただ、背景キャラクターのプレイアブル化は常に検討しています。ウー・ヤンの物語を描く中で「優秀な姉のアンランがいたら面白いよね」という希望は持っていました。
結果として、今年展開するストーリーの起承転結に彼女が完璧にフィットしたため、実装が決定しました。非常に自然な流れで加わってくれたと感じています。
2026年、『オーバーウォッチ』は物語で新規層を魅了する
ーー新規プレイヤーに向けて、本作の最も注目してほしいポイントを教えてください。
Miranda氏:やはり物語性です。『オーバーウォッチ』の魅力は、他のFPSとは一線を画す深い世界観にあります。今年は特に物語の連続性に力を入れています。5人の新ヒーロー追加で全員が手探りの状態である今こそ、ストーリーに惹かれて入ってくる新しいプレイヤーにとって、参戦する絶好のチャンスです。
1年をかけて描く「起承転結」——物語の作り方の変化
ーー今後は「連続的なストーリー」になると伺いました。これまでの手法と何が違うのでしょうか?
Miranda氏:物語の作り方は根本から変わりました。私のチームの壁には、警察の事件簿のように付箋がびっしり貼られていて、どのエピソードをどこで繋げるかを徹底的に議論しています。メインストーリーはもちろん、深く掘り下げたい方向けのサイドストーリーも充実しており、没入の度合いをプレイヤー自身が選べるようになっています。
ーータロンとオーバーウォッチの対立を描くイベントも始まりますが、これはストーリーが先行して決まったのでしょうか?
Scott氏:鶏が先か卵が先かのような関係で、お互いに影響し合っています。ナラティブチームが枠組みを作り、デザインチームが「こういうプレイ体験が欲しい」とフィードバックする。週に一度の全体ミーティングで、一丸となって構想を育てていきました。
2時間で700行!「ジェットパック・キャット」の音響制作秘話
ーーScottさんは「猫」の音響も担当されていますが、言葉を話さないキャラに命を吹き込むのは大変でしたか?
Scott氏:最高にエキサイティングな挑戦でした!声優の方が素晴らしく、わずか2時間の収録で700行(!)もの鳴き声を録音してくれたんです。脚本には「可愛いニャー」「怒ったニャー」といった方向性だけが書かれていて、それを彼女が見事に表現してくれました。
ーー700行! 編集作業も凄まじいことになりそうですね。
Scott氏:調整を重ねてゲームに実装した瞬間、すべてが繋がり「これこそが猫の声だ!」と確信した時は大きな達成感がありました。Mirandaからの「問いかけるようなニャーにして」という無茶振りもありましたが…(笑)唯一無二のオーディオ体験が完成した自負があります。
今後のメディア展開について
ーー最後に、今後シネマティックトレーラーの新作にも期待して良いでしょうか?
Scott氏:具体的なスケジュールは言えませんが、期待は裏切りません!シネマティックだけでなく、モーションコミックや今回の「ヴェンゼッタ」のようなメディア展開も積極的に行っていきます。
「次のシーズンまでやることがない」なんて暇は与えないつもりです。毎シーズン、皆さんの興味を惹きつけるコンテンツをどんどん出していきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
8年越しの夢が結実!とうとうプレイアブル化した新ヒーロー

▲左からエムレ役のKeremさん、アンラン役のFareehaさん、Joshi氏。
キャラクターとの個人的な繋がり
ーー声優のお二方にお聞きします。役作りで特に意識したことは何でしょうか?
エムレ役 Keremさん:実は私、2014年に彼が初めて資料に登場した時からの大ファンなんです。ずっと「彼はどんな人生を歩むのか」と妄想していましたが、今回用意された物語は私の想像を超える素晴らしいものでした。
私自身のトルコ系アメリカ人としてのバックグラウンドを演技に活かし、少し自信家で頼れる兄貴分のようなキャラクターを意識して演じました。
アンラン役 Fareehaさん:彼女の強さの裏にある「親の期待に応えられているだろうか」という葛藤やプレッシャー…。私自身も「親からもらった全てを返せるくらい努力しなきゃ」と思って生きてきたので、その個人的な感情をアンランの力強さの裏側に込めました。
ナラティブが明かす、衝撃の「ミズキ」過去編
ーー今回実装されるミズキについても、非常に重厚な設定があると伺いました。
Joshi氏:ミズキの物語は、単なる「若者の葛藤」ではありません。孤独な幼少期を過ごした彼が完全に悪に染まらなかったのは、当時橋本組に幽閉されていたキリコの父・山上俊郎(やまがみ としろう)氏との出会いがあったからです。
山上氏こそが、ミズキにとっての希望の光だった。その時もらった優しさがあったからこそ、ミズキは自身の”呪い”に打ち勝とうと足掻き続けているのです。
10年間の沈黙を破る一発録りの熱演
ーー収録現場での印象的なエピソードはありますか?
エムレ役 Keremさん:エムレが10年間の沈黙を破り、人間としての言葉を取り戻す瞬間があるのですが、その収録はまさに「一発録り」でした。
10年分の感情を爆発させた演技に、終わった後は音響監督と顔を見合わせ、「…マジかよ」と呆然とするほどの熱量が生まれましたね。
Joshi氏:アンランについては、特にリスポーン時のセリフにこだわりました。彼女は責任感が強く、一歩のミスも許されない極限状態で戦っています。リスポーンする瞬間に、自分のミスをどう解析し、痛みや怖さをどう克服するか。その精神的な強靭さを声に乗せてほしいとリクエストしました。
ーーお気に入りのセリフを教えてください。
アンラン役 Fareehaさん:弟のウー・ヤンに向ける厳しい言葉ですね。「もっと上手くできるでしょ!」と突き放すような言い方をしますが、それは彼の才能を誰よりも信じているからこそ。親の期待を一身に背負う姉としての責任感と、弟への不器用な愛が詰まった複雑な関係性が表れています。
また、キリコとの会話でこぼす「世界中の何と引き換えにしても、彼だけは失いたくない」という本音も大好きです。…まあ、絶対に本人の前では言わないでしょうけどね(笑)
『オーバーウォッチ』新時代のビジュアル表現――サンリオコラボの苦労から、新エンジンがもたらす炎の質感まで

▲左からDaryl氏、Dion氏、Melissa氏。
ドミナは「シンメトラ」の副社長!? デザインに込められた意図
ーー先行プレイで「ドミナ」を操作しましたが、デザインやモーションにシンメトラに近い雰囲気を感じました。これは意図的なものでしょうか?
Daryl氏:はい、それは意図的な設計です。設定上、ドミナはシンメトラが所属する「ヴィシュカル社」の副社長ですので、自ずとテクノロジーのルーツが共通しています。フォトン・バリアの視覚効果なども、あえてシンメトラに近いビジュアルに寄せることで、世界観の繋がりを強調しました。
5ヒーローそれぞれの「デザインの柱」
ーー「ドミナ」のデザインやモーションが「シンメトラ」に近いのは、意図的でしょうか?
Dion氏:はい、意図的な設計です。設定上、ドミナはシンメトラが所属する「ヴィシュカル社」の副社長です。テクノロジーのルーツが共通しているため、あえてビジュアルを寄せることで世界観の繋がりを強調しました。
ーー5体の新ヒーローについて、デザイン面での差別化を教えてください。
Dion氏:各キャラに明確なコンセプトを設けています。ミズキは山伏と忍者。アンランは現代の炎の魔術師。ドミナは威厳あるCEO。エムレは80年代風のサイボーグ兵士。そして猫は、圧倒的な猫らしさです。
ーーミズキの鎖鎌という武器は非常にユニークですね。
Melissa氏:最初はショットガンも検討したのですが、忍者としてしっくり来なくて(笑)最終的に、腕に鎖を巻く鎖鎌に行き着きました。攻撃時の火花など、細かいディテールもぜひ見てほしいですね。
「サンリオコラボ」という挑戦
ーーFPSとサンリオ、この真逆の世界観を融合させるのは大変だったのでは?
Daryl氏:長い時間をかけて交渉し、ようやく実現しました(笑)
Dion氏:ウィドウメーカーのライフルを「傘」のようなシルエットに変えるなど、怖さを削ぎ落とし、サンリオらしい「キュートさ」と共存させるのに苦心しました。サンリオさんから「めちゃくちゃ気に入っています!」とお返事をいただいた時は本当に安心しました。
ーーお気に入りのスキンはありますか?
Melissa氏:キャラクタ―としてはポムポムプリン推しですが、スキンの完成度ではルシオの「けろけろけろっぴ」がイチオシです!バックパックの葉っぱがピコピコ動く仕掛けなど、可愛さを徹底的に追求しました。
新エンジンがもたらす「布の揺れ」と「正しい影」
ーーエンジンアップデートによる、アートワークへの影響はありますか?
Dion氏:特に「アンラン」の表現が劇的に進化しました。布のシミュレーション向上により、衣装が炎のように滑らかに揺れ、帽子や髪が落とす影も極めてリアルになっています。
Melissa氏:エンジニアと密に連携できたことで、テクスチャの質感や光の反射も細かく調整できました。アンチエイリアスの向上も相まって、より没入感のあるシャープな映像を実現しています。
ーー最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
Melissa氏:実は新ヒーロー「ミズキ」の初期コードネームは「カッパ(河童)」だったんです。開発チームから愛着を込めてそう呼ばれてきた彼が、どう皆さんに受け入れられるかドキドキしていますが、ぜひ可愛がってあげてください!
10年目の大改革:UI/UX刷新がもたらすヒーローが主役の新設計

▲左からSadie氏、Jay氏、Brallan氏。
10年分の改善リストがついに実現
ーー今回、ホーム画面を大幅に刷新した理由はなんでしょうか?
Jay氏:今回の大型アップデートのビジョンが、UIチームが10年間温めてきた改善リストと一致したからです。ヒーローと物語を軸にするという目標のもと、オーバーウォッチの第2章を象徴するデザインへシフトする最高のタイミングだと判断しました。
ーー具体的にどのような見せ方を意識しましたか?
Jay氏:”あらゆる場所でヒーローを感じられるUI”です。3Dモデルのヒーローが常に主役として映えるようにし、お気に入りのスキンを自慢できる場所を増やしました。同時に、新ヒーローやイベント情報が一目でわかる機能性も両立させています。
3D化された試合後投票でソーシャルな喜びを
ーー試合後の投票画面も復活されるそうですね。
Brallan氏:シーズン2からフル3Dに進化します。キャラクターが踊りながら登場し、MVPは特別なパフォーマンスを披露します。チームメイトを称え合いながら、自身のスキンも見せつけられるソーシャルな瞬間を楽しんでほしいですね。
初心者への配慮と直感的なデザイン
ーーーー「スタジアムモード」にビルド推奨機能を追加した意図はなにでしょうか?
Sadie氏:初心者向けの「補助輪」です。自由度が高すぎて選べないというハードルを下げ、まずは成功体験を味わってもらうための入り口として用意しました。
Jay氏:UIアイコンも一新しました。HP関連は黄色、シールドは青と色分けを徹底し、マカロニ&チーズのようなゲームの世界観を活かしたユニークなアイコンで、直感的な分かりやすさを追求しています。
ユーザーの痛みを解消する操作性の向上
ーー利便性において、特に改善した点はどこですか?
Jay氏:「試合後のクリック数が多い」という声に応え、情報をタブ化してワンクリックでランクやスコアを確認できるようにしました。
また、起動時のバナーが邪魔にならないよう通知タブを新設し、必要な情報をストレスなくキャッチできる構成にしています。
10年分の「ボツ音源」が復活!? 開発からの隠れた注目ポイント
ーー最後に、隠れた注目ポイントを教えてください。
Brallan氏:チャットホイールに、過去10年の収録でボツになっていた「面白い一言」や「称賛ボイス」を多数追加しました。「今のヒール最高だね!」といった感謝をキャラ特有のセリフで伝えられる、チームの遊び心が詰まった要素です。
『オーバーウォッチ』の概要
©2026 Blizzard Entertainment, Inc.
[取材協力]:Blizzard Entertainment
(編集・執筆/ゲーム山本)







