2024-03-04

【インタビュー】アップデートで大変貌を遂げたアスタータタリクスの、それでも変わらなかった「物語」を体験してもらうための情熱

2月28日にハーフアニバーサリーを迎えたアスタータタリクス(以下アスタタと省略)は、大規模なアップデートを実施。コンソール機と同等の物語体験を売りにしている本作だが、それを覆す圧倒的なスマホフレンドリーとでも言うべきアプデ内容が話題を呼んでいる。ゲームエイトではアプデ前日に行われた生放送後に、今泉潤プロデューサーに短時間のインタビューを実施。今回のアップデートに対する運営側の思いについて伺ってきた。

ずっと残るような「物語」を目指してきた「アスタータタリクス」

画像▲生放送の出演者の方々、画面左からチーモンチョーチュウ菊地浩輔氏、今泉プロデューサー、町田ディレクター

--ハーフアニバーサリーおめでとうございます。まずは今のお気持ちと、これからの「アスタタ」をどう進めていくのか、という点をお聞きできるでしょうか。

今泉P
ハーフアニバーサリーではかなり大型のアップデートを入れているので、今までの方も大切にしながら、さらに新しい方々にも楽しんでもらえるようなサービスにしたいです。

--実際に生放送で発表されていたアップデートの内容は、ものすごく衝撃的でした。

今泉P
もともと「アスタタ」はみんなの心にずっと残るような「物語」を目指して始めたゲームでした。僕が強く思っていたのが、スマホゲームって基本的に消費されがちというか、思い出に残っていかないからだんだん人も離れちゃうし、長く続けるのが難しいんじゃないかっていうことだったんですよ。

例えば漫画やアニメなんかでも、連載ですごく人気が出ちゃったせいでどんどん物語が引き伸ばされていく、みたいなことってあると思うんですが、そうすると元々持っていた物語のプロットは中だるみしちゃいますよね。僕自身もファンキルやタガタメなんかは8年9年とずっとやっていますけれど、最初に思い描いていた物語は3年ぐらいで終わっていて、「まだみんなに求めていただけるのであれば、この先も作らなきゃ」っていう話の作り方で進めてきていました。

要するに、オープニングからエンディングまでの一貫した物語があるわけではなくて、成功したら伸ばすってことを前提にしているものが多いんです。そのせいで思い出に残るような強い物語体験がし辛いんじゃないか、って思っていたんです。だからこの「アスタタ」ではそのやり方を変えて、ひとつの完結した物語として、ひとつの思い出の中に残るようなものを形にしたいと思っていました。

けれど実際にリリースしてみて、メリットだと思ってた点が実はデメリットだった、ストロングポイントだと思ったのが逆にウィークポイントだった、みたいなことはいっぱい感じていて、簡単にまとめると、これまではすごく間口の狭いものを作っていたんだな、という反省がありました。なので今回ハーフアニバーサリーを迎えるにあたっては、間口をしっかり拡げて奥の楽しみにたどり着いてもらえることを目指したアップデートをしています。

SNSとかでも以前からいろんな意見をいただいているので、手を付けられるところからちょくちょく直してはいたんですが、もっと根本的に考え方を変える必要があるんじゃないかっていうところがあっての、今回のアップデートになっています。

--間口が狭くなってしまっていたというのは、どういうことなんでしょうか?

今泉P
僕自身は、ゲームって能動的な物語体験を許してくれるものだと思ってるんですよね。トルネコになったら、妻のネネさんに作ってもらったお弁当をちゃんと食べて、次の日も作ってもらいたい!そういう「自分がしたこと」に対してリアクションがある、能動的な行動に対する結果がついてくることが嬉しくて、それが唯一無二の物語体験を与えてくれるのがゲームなんだと思っているんですよ。

一方でスマホで主流のゲームっていうのは、どちらかといえば受け身的というか、必ずしもそうした体験を重視しているわけではないと思います。とはいえスマートフォンの性能もどんどん上がってきていますし、ゲームっていうのも多様化が進んで、スマホとかコンソールの境目みたいなものはなくなっていって、スマホゲームでももっと能動的な面白さのゲームが受け入れられるようになるんじゃないか、信じて作っていたのが「アスタタ」でした。

けれどやっぱり、一つの完結した物語とか、選択肢がたくさんあって自分で考えないといけないみたいなことって、すごくハードルが高い。めんどくさくなっちゃうんですよね。現代はスマホ一つあればいろんなエンタメに手軽にアクセスできる時代なので、自分が既にハマっているものならともかく、初めて見るゲームに重いコストを割きづらくなるのは仕方のないことです。だから今回のアップデートで重視しているのは、まずは手にとって遊んでもらう、というところです。やってもらわなければ伝わりませんから。

「物語」を楽しんでもらう、という点では全く変わってはいない

--本当にガラリと印象の変わるようなアップデートだと思うのですが、逆にこれだけは変えていない、という部分はあるのでしょうか?

今泉P
それで言うと、実は根本は全く変わってはいないんですよ。つまりずっと思い出に残るような「物語体験」です。たぶん外から眺めていると「すごく変わった」って見えると思います。だけど今も継続して遊んでくれている人たちは、変わったな〜とは感じないんじゃないかな、とも思うんですよね。今までのモードっていうのはちゃんと残っていて、物語の完結とか分岐とかっていうのもしっかり体験できる。変わった、あるいは変わったように見えるのは、面倒くさかったところや、間口が狭かったところを拡げている箇所ですね。

要は、今も遊んでくれている人たちが「これが面白いのに、これが他のゲームと違うのに」って感じてくれている要素は、絶対に大事にしたいんですよ。でもそれを体験する前に、たどり着く前に止められちゃうってことになると、意味がないですよね。そうなるのが一番悔しいことです。

「アスタタ」には確かに面倒くさい要素ってめちゃくちゃあります。「まず何すればいいのか?」みたいなことを人に教えるのも難しくて、僕はそういうのを試行錯誤するのも含めてゲームの楽しいところであると思ったりもするんですけど、多くの人たちに一番たどり着いて欲しいところを触ってもらうには、まずはもっと分かりやすくゲームの魅力にたどり着けるようなモードが必要だったんですよね。

--確かに、私が今回のアップデート内容を見ていてすごく感じたのが、ものすごくユーザーフレンドリーというか、多分ユーザーさんから上がってきた「ここ直してよ!」みたいなものを丁寧に丁寧に対応してくれているんだなと。

今泉P
一本見るのに3時間かかる映画を作っていたのをやめて、同じ内容だけれどもそれをTVシリーズにしてもっと手軽に見てもらえるようにした、というイメージでしょうか。べつに3時間張り付かなくても、気軽に見てくれて良いんですよってことを伝えたいですね。

そして内容を知って好きになってもらえたら、今度は没入していって欲しいですね。いままではこのアプローチが逆になってしまっていたので、そこを改めています。

--少し話は変わるのですが、「アスタタ」と言えば、物語の途中で流れる挿入歌であったり、使用されている音楽も非常に印象的です。制作陣も大変豪華で、どうしてここまで力を入れていたんだろうと、気になっていました。

今泉P
これもやっぱり、物語を楽しんでもらうっていうところを一番思っていますね。物語を思い出すときって、自然と音楽が一緒に出てきたりしませんか?あのアニメの、あの映画の、あのシーンで流れたなあっていう音楽って、エンタメ作品ならみんな絶対にあると思うんですよ。音楽ってものすごく大事なんです。

そういう物語体験はすごく大事にしたかったので、今回も物語をしっかり彩ってくれる音楽にしたかったんです。1人の男の人生を描く物語としては、すごくいいまとまりのあるものができたなって個人的には思っていますね。

今後もユーザーからの意見を受け取りつつ、さらなる体験を目指す

--以前からSNSなどでも意見を集めていた、というお話もありましたが、つい最近公式Discordの運営なども始められていますよね?こちらはどのように使われていくのでしょうか?

今泉P
なかなか難しいのが、「アスタタ」は物語をすごく大事にしているゲームなんで、外に開かれたツールだとネタバレとかを気にして発信しづらいっていうところはあると思っています。なのでDiscordみたいな、半分閉じられた場所でスレッドを用意してあげれば、もっと気軽に喋れるんじゃないかなみたいな期待が最初にありました。

今後は、こういう場所でユーザーさんの意見をキャッチアップさせてもらいたいなとも思っています。ユーザーさんから運営に向けた言葉が届けられる場所ってすごく大事だと思っていて、だからある程度閉じられて……と言っても完全に閉じられているわけではないんですけれど、本当にゲームが好きで遊んでくれている人たちが集まっているコミュニティだと、出てくる意見っていうのはやっぱり「なるほどな」って感じられるものがすごく多かったと思います。ユーザーさんを見てないゲームになっちゃ駄目なんですよね。

例えば「アスタタ」は以前までの経験からとにかくリッチに行こう!という方向性で走っていたゲームでした。やれることが多いほうが楽しいよね、3Dで豪華なほうが楽しいよね、っていう方向で作っていたのが「完結・分岐・コンソール」とか、そういうものだったんですよ。でも蓋を開けてみたら「完結しないほうがいい」「分岐するのは面倒くさい」っていう意見も多かった。

僕たちはこれが面白いはず!って信じて作ってはいたんだけど、ある意味でそれは、ユーザーの声を聞かずに独りよがりに作っていたという面もありました。3Dやフルボイスにすれば、豪華にはなるけど容量も重くなる。一つ一つの要素に正の部分もあれば負の部分もあって、良いと思ってくれる人もいれば、そうじゃない意見もある。これが正しいと思っていたけど、なるほどそういうことでもないんだなっていうのが分かるのって、やっぱりユーザーさんの声からなんですよね。だから今あるDiscordとかSNSとかも、もっとうまくユーザーさんの意見をキャッチアップできるように使って、これからもっとゲームを改善していければなって思っています。

今回のハーフアニバーサリーで革命的なアップデートしましたので、これまで楽しんでいただいた方々はもちろん、リリース当初に諦めてしまった方にも、どれだけ変わったか一度ログインしていただけると嬉しいです。

[取材協力:gumi]

アスタータタリクスについて

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タイトル:アスタータタリクス ジャンル:本格シミュレーションRPG 配信先:App Store/Google Play Store 価格:基本プレイ無料(アイテム課金制) 権利表記:©︎FgG, ANX 公式サイト:https://at.fg-games.co.jp/ 公式Twitter(X):https://twitter.com/FgG_ASTR

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