人気バトルロワイヤルゲーム「APEX LEGENDS」の5周年を記念して幕張メッセで開催された『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』。そんな記念すべき大イベントにゲームエイトライターが潜入することに成功した。『RAGE』の舞台裏や担当者へのインタビュー、会場の様子のレポートとたっぷり皆さんにお届けしていくので、ぜひチェックしてみて欲しい。
『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』とは
『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』は、人気バトルロワイヤルゲーム「APEX LEGENDS」の5周年を記念して、2024年2月24日(土)〜2月25日(日)にかけて幕張メッセで開催されたオフラインイベントだ。ゲームの世界観を再現している会場、世界的プレイヤーたちによるエキシビジョンマッチも開催され、会場は大盛り上がりしていた。
そんな『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』の舞台裏に潜入することに成功した。『RAGE』を支える方々にインタビューすることもできたので、ぜひチェックしてみて欲しい。
では、早速舞台裏の様子や会場の様子、インタビュー内容を皆さんにお届けしていくぞ!
▲会場前にはサプライボックスの展示も!細かな汚れまで忠実に再現されており、記念撮影を求める方々が後をたたなかった。
『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』の裏側に潜入!
皆さんは『RAGE』の裏側がどのようになっているのか気になったことはないだろうか?まずはそんな方に向けてイベントの裏側について紹介していこうと思う。
上記の画像は、メインステージ裏側の設備だ。大量のモニターと機材が並べられており、試合中に多くのスタッフさんがモニタリングしていた。豪華な舞台裏では、このように細心の注意を払ってネットワークの数値を見ているのだ。
▲こちらはメインステージ正面に設置されている設備だ。こちらでも常に数値や配信画面を確認して、問題ないかモニタリングしている。上記の機材の他にも、配信用のカメラも用意されており、かなり大掛かりな設備になっていた。
そして今回は、『RAGE』さんのご好意で、メインステージ袖から設備の撮影をすることもできた。煌びやかなステージに目を奪われるのだが、モニターの裏には大量の配線が隠されているのが分かるだろう。これも大会中に事故が起こらないように、配慮して設置されているものだ。
『APEX』一色の会場の様子もお届け!
会場に入ると『APEX』の世界観をしっかりと再現した空間が広がっていた。巨大なジャンプタワーや横断幕、中央にはネッシーが展示されており、テンションの上がる景色になっている。会場内にはゲーム内BGMやSEも流れていて、耳で楽しめる演出も用意されていた。
では、会場の展示物で筆者が特に印象に残っているものを皆さんに紹介していくぞ。
物販ではサプライボックスの中にTシャツやタオル、ぬいぐるみなどが展示されていた。グッズだけでもテンションが上がるのに、こんな演出で陳列されていたら、ついつい立ち止まってしまうこと間違いなしだ。
そして中央に展示されていたネッシーに急接近!近くまで寄ると見上げないといけないほどの大きさに圧倒された…。首に下げているメダルも金色に輝いており、どこか嬉しそうに見えるネッシーだったぞ。
ぬいぐるみを取ることができるホライゾンのクレーンゲーム。景品を求めて多くの方々が挑戦されており、取れた時にはガッツポーズをしている方も見られた。見るだけではなく、お祭りに来たような感覚を味わえるコーナーになっていた。
こちらはストレス発散にもってこいのパスファインダーのパンチングマシーン。ゲーム内でボクシンググローブを付けているパスファインダーらしいコーナーにクスッときてしまった。パンチの数字が高い方は、設置されているパネルに名前が表示されていたので、ランキング上位を目指して全力で拳を振るう方々で賑わっていた。
本イベントはお祭りがテーマということで、日本の縁日で同じみの提灯が吊り下げられていた。デザインにゲームのロゴが採用されており、こだわりを感じられる仕様だ。
メインステージでは、プロ選手が鎬を削るカスタムマッチも開催された。時間になるとド派手な演出と共に選手が入場して、会場も大いに盛り上がっていた。コスプレイヤーやDJの方も登壇しており、5周年に相応しい演出にただただ圧倒されてしまった。
ここでは紹介していないが、他にもコラボフードやチームブースなども用意されており、ひっきりなしにファンの方々が訪れていたぞ。
『RAGE』を支えるキーマンにインタビュー!
コーユーイノテックスの坂本氏
ーー自己紹介と『RAGE』の担当している部分を教えていただけますか。
坂本政弘氏(以下、坂本氏):コーユーイノテックス株式会社で、常務執行役員を務めている坂本政弘と申します。『RAGE』では、技術パートナーとしてネットワーク周りの全てを担当しています。円滑なネットワークを作り、選手の皆さんが快適にプレイできる環境を整えて、ファンの方に喜んでいただくことを目標に取り組んでいます。
ーー『APEX』だと60台もPCを動かすことになるので、かなり負荷がかかると思います。どのような工夫をして、負荷の処理や分散をしているのでしょうか。
坂本氏:私共でネットワーク検証室を作っており、実際に運用できるか確認を取るようにしています。今回はPCが60台と多いので、ゲームでどれぐらいのネットワークを使って、どういう通信をしているのか理解しないといけません。そのため、検証室でゲームをプレイするのではなく、ネットワークの観点から調査をしています。
検証が終わったら『RAGE』さんの担当者とやり取りをして、ネットワークをどう使うかの話し合いをしていきます。ゲームによって人数やデバイスも違うので、ネットワークをどう作るのか担当者と密に連携を取りながら作っていくのが一番の強みだと思っています。
ーー全て一気通貫でサポートしてくれるんですね!
坂本氏:そうですね!あとはモニタリングもしており、会社でネットワークがどう使われているのか見える化しています。何かあった時に、関係各所と原因をすぐに特定できる体制を作っています。
また、設計、工事、監視の3つが揃ってないと、大きな大会を開けないと思っています。役割を分散している会社さんが多い中、特に監視に重きを置きながら一気通貫でサポートする会社はあまりないですね。
あとは、使い方を分かった上で監視をしているので、明らかに違う使い方をすると、すぐ分かるようになっています。回線のグラフを見ながら、大会運営ができるのも強みだと思っています。
ーー大会運営の中で大変だったエピソードや苦労したことを教えていただけますか。
坂本氏:我々がイベントに入った時は、フローが無かったので整備が大変でした(笑)大会中に回線落ちしてしまったら、全てが台無しになってしまいます。お話しした努力が日本に浸透してきて、海外で起こるようなトラブルなく『RAGE』は開催されています。
ーー『RAGE』の技術パートナーになって、最初に取り組んだことは何ですか。
坂本氏:最初は関係値をしっかり作ることを重点的にやりました。イベントは生物なので、いくら準備してもトラブルが色々起きることがあります。その時に関係各所との連携が大事になってくるので、関係値を築くことでスムーズにトラブル解決できるようになります。
また我々が手がけているネットワークは、事務所のLAN工事が多かったので、イベント用のノウハウをメンバーと共有しました。コミュニケーションをとって、様々なことに対処できるように環境を整えましたね。
ーー準備していた中で今まで一番大変だった大会は何だったのでしょうか。
坂本氏:大規模な大会も大変なのですが、初めてeスポーツ大会を開催する建物は大変です。回線状況がよくない建物では、工事や準備に時間がかかるので、我々も気合いが入ります。逆に頻繁にイベントを開催している会場は、スムーズでやりやすいですね。
ーー裏方だからこそのやりがいを教えていただいてもよろしいですか。
坂本氏:めちゃくちゃいっぱいあります(笑)強いて言うなら、白熱した試合に会場が一体になって盛り上がる時の雰囲気は、日本の文化が作った環境だと感じています。その中で、会場が震える瞬間を一緒に共感できた時が「入ってよかった!」となります。そこは本当にやりがいを感じる瞬間ですね!
ーー今後『RAGE』に期待することと、最後に一言いただけますか。
坂本氏:『RAGE』さんは背中を見ずに前だけを見て進んで欲しいですね!我々がバックグラウンドを全力でサポートするので、やりたいことを提案していただければ、全力で提供したいと思っています。
あと、現在イベントが増えてきてメンバーが足りなくなっているので、ご興味ある方がいらっしゃれば応募をお待ちしております(笑)
ーーお忙しい中、ありがとうございました!
『RAGE』プロデューサーの大友氏
ーー自己紹介と『RAGE』の担当している部分を教えていただけますか。
大友真吾氏(以下、大友氏):『RAGE』のプロデューサーを務めている大友真吾と申します。2015年に『RAGE』というeスポーツ大会ブランドを立ち上げさせてもらった時から責任者、プロデューサーをしています。2017年にエイベックスさん、2019年にテレビ朝日さんに加わっていただき、現在は3社協業で事業展開をしています。
僕たちはゲームメーカーではないので、色々なIPホルダーさんにゲームをお借りして、eスポーツの大会を運営したり、リーグを主催したり、エンタメ要素のあるイベントを開催したり、IPを借りて興行ビジネスをやっています。今まで大体30タイトル近くのゲームタイトルの方々とご一緒して、本格的な賞金付きの競技シーンから、ストリーマーやプロ選手を混ぜたエンターテイメント性の高いeスポーツイベントを作っています。
ーー今まで運営してきた大会やイベントで、特に印象に残っているものを教えていただけますか。
大友氏:一番印象的だったのは、2022年の5月に行った『RAGE VALORANT 2022 Autumn』ですね。コロナのイベント規制が緩和されて一発目の大型イベントだったので、非常に印象に残っています。
その頃は、ストリーマーの影響もありeスポーツがすごく見られていました。その中で、eスポーツ産業の新しいエコシステムを作れると思い、有料イベントにチャレンジしました。結果2日間で約13,000人も来場してくれて、非常に盛り上がった大会でした。
ーー逆に今までで一番大変だったエピソードを実体験を交えながら教えていただけますか。
大友氏:2015年〜2018年くらいに開催したイベント全般です。僕らはイベントのプロではなく、eスポーツ経験者でもなかったので、色々なパートナーさんに助けてもらいました。最初の頃は良くも悪くもトラブル続きでしたね(笑)
あとは、大会のルール作りや設計もすごく苦労しました。大会運営側の自由度がある反面、最初の頃はファンやコミュニティの方を困惑させる大会もありましたね。
しかし、今では新参者だからこそ無茶ができたと思っています(笑)今までなかったエンタメを含めた大会を作れたのは、素人だったからこそできたと感じますね。
ーー今後どのようなタイトルで大会やイベントを開催したいですか。
大友氏:既存のタイトルだけではなく、『STREET FIGHTER 6(ストリートファイター6)』のイベントを予定していたり、『RAGE eFootball™』や『RAGE Counter-Strike 2 INVITATIONAL』も大きくないですけど、オンラインのエンジョイ大会で開催しています。今年も新しくリリースされたタイトルや、業界が盛り上がりそうなタイトルに挑戦していきたいです。
ーーゲーム大会以外の取り組みにも挑戦されていると思います。今後新しい取り組み、挑戦したい事業を教えていただけますか。
大友氏:僕達の使命は、eスポーツを文化にすることだと考えています。「10年前はeスポーツ盛り上がっていたよね」ではなく、しっかりとした産業にしたいと思っています。そういう意味だと、エコシステムに必要な事業や取り組みを増やしていきたいです。
僕は数年前から言っているのですが、eスポーツもプロ野球やJリーグのような存在にしたいと思っています。シーズンになると、1,000人ぐらい入るeスポーツ施設で試合を常に観戦できるようにしたいです。
ーー今回は『APEX』が5周年で、大々的にイベントを開催された思います。特に力を入れた部分やファンの方に喜んでいただくために工夫したことを教えていただけますか。
大友氏:今回はElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)さんが主体になって開催したイベントなので、ゲーム世界観を再現した演出、コンテンツ作りが一番工夫したポイントです。試合だけだとコアな方は楽しんでもらえるのですが、今回はフェスティバルなので誰でも楽しめるようにしました。
例えば、オープニング映像では書道家の映像や和太鼓の演奏を採用して日本文化に合わせました。ステージ以外も縁日のような雰囲気に仕上げており、提灯を飾ったりしました。日本文化 x ゲームの世界観をうまく表現できたと思います。
ーー今回のFESは世界各地から有名選手やプロ選手を招待していると思います。その中で、一番大変だった事を教えていただけますか。
大友氏:やはり言語の壁が大きかったです。しかし、僕らも直近の1〜2年ぐらいで海外の会社さんとやり取りをしているので、その経験は活きたと思います。
ーー今後『APEX』だけではなく、他のタイトルでFESを開催する予定はありますか。
大友氏:今回のような日本文化 x eスポーツは、すごくニーズがあると感じているので、トライしていきたいです。また、僕らの一つのテーマとしてグローバルを掲げているので、海外でも『RAGE』を開催したいですね。
ーー最後に読者に向けて一言いただいてもよろしいですか。
大友氏:今後も色々なゲームでeスポーツシーンを作っていきたいと思っています。普段からeスポーツ大会やリーグを見る方だけではなく、プレイヤーやゲーム実況を見る方でも楽しんでもらえるようなeスポーツのコンテンツを作り出したいです。
今年のテーマとして、eスポーツシーンにとどまらず、今の若い子が興味を持ってくれるものを作りたいとも考えています。なので、気軽に『RAGE』が作っているイベントや大会、カフェに来てもらって、実際にeスポーツを体験してくれると嬉しいです!
ーーお忙しい中、ありがとうございました!
eスポーツの良さを感じられるイベント
ここまで『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』の舞台裏と会場の様子をお届けしてきた。
今回のイベントは会場全体がお祭り仕様になっており、ファンの方々で賑わっているのが印象に残った。会場では試合も観戦することができ、世界のプロ選手たちのスーパープレイや予想外の展開に、観客からは歓声が上がっていた。オフラインならではの雰囲気を存分に楽しめるイベントとなっており、まさにテーマ通りのお祭りを肌で感じ取ることができた。
今回参加できなかった方は、次回のイベントにぜひ参加して、会場の雰囲気を感じてみてほしい。「eスポーツっていいなぁ」と心の底から思うことができるぞ!
もう少し語りたいところではあるが、来年の開催も期待しながらこの記事を締めたいと思う。
『APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL 2024 WINTER』の概要
[取材協力]RAGE(株式会社CyberZ、エイベックス・エンタテインメント株式会社、株式会社テレビ朝日)/ コーユーイノテックス株式会社
(編集・執筆/ゲーム山本)