プロeスポーツチーム『REJECT』の代表取締役・甲山翔也氏に独占インタビューを実施。ファンを熱狂させ続ける圧倒的な原動力と、その裏にある企業理念の核心に迫る。2025年の快進撃を振り返るとともに、積極的な海外展開の構想や、Dep選手のチーム加入背景についても深く語ってもらった。
※インタビュー内容は2025年12月に行ったものです。
19歳で起業して8年…”強いだけ”の限界を超えた先
━━まずは自己紹介として、これまでの経歴や現在のお仕事について伺えますか。

甲山翔也氏(以下、甲山氏):株式会社REJECT代表の甲山です。今26歳で会社を設立した時は19歳だったので、今年でちょうど8年目になりますね。もともとは選手として活動していたんですけど、その時のチームを法人化したのが始まりです。2020年に社名を『REJECT』に変えて、今の形になりました。
最初は「大会で勝って賞金を稼ぐ」という、いわゆるeスポーツチームの王道モデルからスタートしました。しかし、まだマーケットが未成熟だったこともあり、ブランドを作っていく中で”強いだけ”じゃ価値を高めるのに限界があるな、と感じました。それから、競技者がもっと憧れの存在になれるように周辺事業にも広げていき、今はストリーマーやVTuberの活躍の場を自社で作って、スポンサービジネスに繋げる形でサイクルを回しています。
最近だと、自分たちでデバイスの開発をしたり、事業買収(ロールアップ)も始めました。その1社目がCG制作に強いMV制作会社なんですけど、Adoさんやanoさんの映像を手掛けるような技術力を活かして、選手の加入発表動画も「これでもか!」というくらいのハイクオリティに演出しています(笑)
━━Dep選手の加入動画もすごかったですよね!あれも自社チームが…?
甲山氏:そうですね!買収して最初の大きな仕事が格ゲーレジェンドのウメハラ(梅原大吾)さんの加入時だったのですが、膨大なCGを使って作ってもらいましたね(笑)今回のDep選手の加入動画も気合を入れて作ってもらいました!
原動力は”かっこいい舞台”への純粋な憧れ
━━『REJECT』の発表にはいつもワクワクさせてもらっています…!新しいことに挑み続ける甲山さんの原動力は何になりますか?

甲山氏:根底にあるのは、子どもの頃に抱いた「世界大会のかっこいい舞台に立ちたい!」という、純粋な憧れですね。この8年でマーケットは大きく変わりましたけど、最近、中国や中東を視察して強く感じたのは、世界のeスポーツシーンにおける日本のポジションの高さです。「あ、日本がこの産業の中心を底上げできるな」って確信を持てたことが、今の大きなパワーになっていますね。
自分たちがエンタメの中心に立っている姿を想像すると、本当にワクワクするじゃないですか。競技に関わるみんながハッピーになって、応援する側も楽しめる。そんな世界を広げて、日本を元気にできたら最高だなと思ってます。
━━私も幼い頃、世界大会に憧れていました(笑)これまで困難なことも多かったと思いますが、それでも続けてこれた理由を教えていただけますか。
甲山氏:一言で言っちゃえば本当に”eスポーツが大好きだったから”です!(笑)
あとは、ファンの皆さんの熱量にはいつも助けられています。時には厳しい言葉もいただきますけど、それも含めて反応がある限り、選手たちが輝ける可能性はまだあるって思えるんですよ。それが「もう一回チャレンジしよう!」とエネルギーに変わるんです。
いつか、ファンのみなさんに心から満足いただけるコンテンツを最高の形でお届けできるように、走り続けていきたいですね。
━━3年前の対談でも「楽しいから続ける」って仰ってましたよね。
甲山氏:そうですね、根底は変わってないです。でも、目標は毎年アップデートされていますよ!
チーム名も最初にあった反骨心から『REJECT(拒絶)』と名を付けたんです。その後、「選手にちゃんとお金を払えるようなチームになりたい」という夢が想定より早く叶っちゃって、一時期は燃え尽き症候群みたいになったこともありました。
でも今は「eスポーツを軸にした事業会社として世界一になる」という、果てしなく遠いゴールがあります。ゴールが遠い分、ずっと挑戦し続けられるのが、今はすごく幸運だなって思っています。
━━世界一…間違いなく一歩づつ進んでいると思います!これからも一ファンとして応援し続けます!
2025年は「3〜4チーム分同時に運営した」ような濃密さ
━━2025年の活動を振り返ってみていかがですか?

甲山氏:選手の人生を預かっているので安易に「良かった」とは言えないですけど、”チャレンジと失敗を気持ちよくやれた年”だったなと思います。 特にサウジアラビアの『EWC(Esports World Cup)』のパートナーに選ばれたのは大きかったですね。そのビジョンに追いつくために急拡大して、従業員も倍以上に増やして全力で走りました。
━━1年でそんなに!?現場は大変だったの思うのですが…。
甲山氏:正直、摩擦やストレスもありました。でもそれ以上に”新しい世界を作っている”というワクワク感が勝ってましたね。感覚としては、3〜4チーム分を同時に運営したくらいの濃密さでした。
あと2025年は、格ゲー部門で『REJECT』のポジションを確立できた年でもあります。VTuberライブで、ファンの方たちが「ぷるる!」って全力で叫んでいるのを見た時は、本当に感動しました。ストリーマーのコミュニティから競技ファンが定着するっていう、新しい可能性を確信した瞬間でしたね。
━━公式動画のVlogも、ぷるるさんの登場など”生感”があって面白いですよね。
甲山氏:あの動画、実は編集がめちゃくちゃ大変なんですよ(笑)VTuberの方は顔出ししないのが普通なのですが、ぷるるは「新しいことに挑戦したい」って意欲がすごくて。自ら「Vlog撮りたい!」って言ってくるくらいアクティブなんです。プロ選手のチアリーダーみたいな存在として界隈を盛り上げてくれていて、本当に助かってます。
ウメハラ加入の裏側と、Dep選手への”10年越しの愛”
━━ウメハラ選手の加入は、どうやって実現したんですか?

甲山氏:僕らは「格ゲーといえばこの人!」という象徴的なメンバーを集めていますけど、ときどさんは非常に重要なキーマンでした。
正直、ウメハラさんの加入は当初「無理だろうな」と諦めてたんです。でも、どうしても諦めきれなくて。ときどさんと話す中で「ウメハラさんと一緒にやってもいい時代になった」という言葉をいただいて、後悔したくない一心で全力オファーをしました。レジェンド2人が同じ旗の下で戦う姿を見られるのは、後にも先にも今しかないと思ったんです。
━━そして、ついにDep選手の電撃加入…。甲山さんから「熱烈なオファー」をしたとか。
甲山氏:彼とは小学5、6年生の頃に『CS(カウンターストライク)』で出会ったんですけど、当時の彼のプレイを見て「一生勝てない」って絶望したんですよ。そこからずっと憧れとトラウマが混ざった特別な感情がありました。
一時期、彼が競技を辞めそうになった時も「お前みたいなスーパースターが辞めるのは業界の損失だ!」って引き止めましたしね(笑)
━━再加入の決め手はなんだったんですか?
甲山氏:「お前が来てくれたら僕の人生は豊かになるし、一生かけて背負う覚悟がある」って、彼が折れるまで愛を伝え続けました(笑)
自分がこの業界で心の底からワクワクし続けるためには、やっぱりDepと一緒にやりたいっていう欲求がどうしても強かった。かなり時間はかかりましたけど、ようやく想いが届いた感じです!
VTuber事業の新たな試み!競技シーンとの意外なシナジーとは?
━━VTuber部門が、REJECTのブランド価値や競技シーンに与える影響について、甲山さんはどう考えていますか?

甲山氏:僕たちは、ピラミッドの頂点には常に”プロ選手”を置いています。ただ、競技の凄さをそのまま伝えるだけだと、どうしても限界があるんですよね。そこで、競技を心から愛しているストリーマーやVTuberという”伝えるプロ”の出番なんです。彼らがカジュアル層に向けて、魅力を分かりやすく翻訳して届けてくれる。
タレント性のあるストリーマーと、VTuberというカテゴリー。それぞれファン層が違うので、刺さる文脈を個別に伸ばしていくことで、結果的に競技シーンの裾野を広げられると考えています。なので来年は、選手xストリーマーやVTuberの方々との連携をもっともっと強化していく予定です!
━━来年度の活躍も楽しみですね!最近も新メンバーの加入があって、かなり力を入れている印象ですが、REJECT独自のオーディションや新規発掘の予定はあるんでしょうか?
甲山氏:あります、あります!大々的なオーディション告知はまだ出していないのですが、すでに活動されている方はもちろん、「一芸を持っていて、これからVTuberとしてチャレンジしたい!」という熱い方は大歓迎です。他にもコラボレーションからスタートとか、そんなカジュアルなお付き合いからでも大歓迎です!一緒に盛り上げてくれるパートナーは常に探しているので、ゲームや競技シーンが好きなら、ぜひ僕らに連絡をください!(笑)
積極的な海外展開戦略!各国のハブとしての選手起用
━━格ゲーやVALORANT、PokemonUniteなど各部門で海外選手を積極的に起用されていますよね。このあたり、海外戦略とはどう繋がっているんですか?

甲山氏:競技選手を”各国のハブ”として起用することって、実はめちゃくちゃ重要なんですよ。例えば、サウジアラビアの『鉄拳』界のスーパースター、Raef選手。彼をサポートすることで、現地の業界構造がダイレクトに見えてくるし、それが日本とサウジアラビアを繋ぐイベント開催にまで発展したりするんです。
一方で、ウメハラさんのようなスター選手を、海外のファンがもっと熱狂的に応援してくれるようになる。そういう多方向の交流を、今まさにガンガン強化している最中ですね。
━━今後の海外展開について、具体的な構想を教えていただけますか?
甲山氏:まず経営者として「常に視野を世界に広げておくこと」は必須だと思っています。サウジアラビアみたいに世界中の資本が集まる場所にいち早く飛び込んで、現地の有力チームオーナーと関係を築くことで、たくさんのチャンスを掴むことができました。
海外の基準を知った上で改めて日本を見ると、日本のビジネスの質の高さにも気づかされますね。今後は海外の部門やチームをまるごとグループ化(M&A)するような動きも、全然あり得る話だと思っています。また、Made in Japanを世界に売り出していく、そんなことも考えています。
若手選手の台頭!プロゲーマーのキャリア形成と育成の裏側
━━スト6の若手育成プロジェクト『Division Youth』も話題ですが、プロのキャリア形成について甲山さんはどうお考えですか?

甲山氏:タイトルにもよりますが、プロとして引退を意識せざるを得ない年齢って、いつか必ず訪れるじゃないですか。だから、今の若手選手が”ただ若くて強いだけ”で終わらないようにしたい。ベテラン選手が長年培ってきた”プロとしての振る舞い”や”ブランドの作り方”を、ちゃんと継承する仕組みが必要なんです。
レジェンドたちが現役バリバリのうちに、栄養素を次世代へ渡してもらう。そうすれば、ベテランは引退後も指導者や象徴として輝き続けられるし、若手は早い段階からプロ意識を持てる。このサイクルを作るために、『ハイタニ登竜門』みたいな場を作っています。
━━他のタイトルでも同じような取り組みをされていくんですか?
甲山氏:格ゲーは個人競技っていう特性があるから、特に育成の手応えを感じていますね。一方で『VALORANT』みたいなチーム競技では、能力を『5カテゴリー・25指標』でグラフ化して、マウスの持ち方ひとつから徹底的に分析しています。こういう科学的なノウハウを惜しみなく提供できるのは僕たちの強みだし、ここはコストをかけてでも挑戦し続けたい部分ですね。
今後の事業展開と展望。eスポーツの枠を超える
━━今後、特に「ここは本気で伸ばすぞ!」という事業や、新しく考えていることはありますか?

甲山氏:まずはVTuber事業の拡大に力を入れつつ、今やっている全事業を”本気で出し切る、伸ばし切る”ことが大前提ですね。ストリーマーx Vtuber事業の拡大にも精力的です。その上で、新たにM&Aにも積極的に取り組んでいます。『REJECT』のブランドを掛け合わせることで、もっと面白い化学反応が起きそうな企業さんに僕らからアプローチして、仲間に加わってもらうロールアップの形です。
もっと長い目で見れば、日本の古き良き伝統文化を世界に届ける役割も担いたいなと。まだ世界に伝わっていない素晴らしい”メイドインジャパン”を、僕たちの映像制作の技術とタレントの影響力でグローバルに発信していく。自社に最強の映像部隊と表現者が揃っているからこそ、eスポーツという枠に縛られず、新しい価値をどんどん仕掛けていきたいですね!
『REJECT』ファンの方々へのメッセージ
━━最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

甲山氏:僕らは今、一生懸命・全力でぶつかり合える『強いメンバー』を募集しています!求めるのはキャリアだけじゃなくて、配信者や競技者への深い理解、そして何より”熱量”です。正面からぶつかり合える、笑顔あふれる「オタク(プロフェッショナルなマニア)」と一緒に前進していきたいと思っています。
うちのスタッフはみんなオタッキーな笑顔が溢れる素敵なメンバーばかりなので(笑)そんな仲間たちと一緒に働きたいというみなさんに会えることを楽しみにしています!
━━本日は、熱いお話をありがとうございました!
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[取材協力]:株式会社REJECT
(編集・執筆/いっしー)







