2025年11月24日(日)に開催された『ぷよぷよeスポーツ』の公式プロ大会「ぷよぷよグランプリ 2025 2nd」をゲームエイトライターが実際に取材することができた。熱戦が繰り広げられた大会の様子を、優勝者、準優勝者のインタビューを交えながらお届けする。
「ぷよぷよグランプリ 2025 2nd」とは?
「ぷよぷよグランプリ」は『ぷよぷよeスポーツ』の公式プロ大会。
「ぷよぷよ」シリーズのプロライセンスを持つプロ選手による賞金大会だ。
出場選手全33名を8グループに分け、グループごとにリーグ戦を実施し各グループ1位の選手が決勝トーナメントへ進出。
2024年10月18日(金)〜11月4日(月)の期間で開催された予選リーグを勝ち上がった全8名によるダブルイリミネーション方式のトーナメント戦が行われた。
一度負けても「ロウワーブラケット」に移動し、そこで勝ち抜いていくことで復活。グランドファイナルへ進出し、再び優勝争いに参加する権利を得られる。
しかし「アッパーブラケット」を順当に勝ち抜いてきた選手に対して不公平が発生しないよう、「ロウワーブラケット」の勝者がグランドファイナルで勝利した場合は「リセットマッチ」と称して再戦が行われるという形式だ。
本大会はセガ本社11Fにある『LIGHTHOUSE』にて有観客で行われた。親子連れの姿も見られるなど観客の層も幅広く、試合の際にはそれぞれに配布されたバルーンを叩いて会場一丸となって応援ができるなど観客も一緒に盛り上がりやすい仕組みとなっている。
大会MCは石飛恵里花さん、実況解説は柴田将平さん、ALFさん、momokenさんが担当した。
特にALFさん、momokenさんはぷよぷよのプレイヤーとして有名なお二人。
選手の戦略の細かな動きや試合が進むにつれての心境の変化、選手が使用している積み方の説明など、ぷよぷよのルールやプロの試合にあまり詳しくないという方でも解説を聞けば理解して一緒に楽しめる…というのもプロ大会の醍醐味の一つだ。
今回は想像を超える激戦となったグランドファイナルの試合の様子を詳しくお届けする。
グランドファイナルはともくん選手vs.delta選手に
グランドファイナルは、アッパーファイナルの勝者とロウワーファイナルを勝ち上がり復活した選手の間で行われる。
ロウワーファイナルではアッパーファイナルで敗れたdelta選手がSAKI選手を破りグランドファイナルへ進出。
グランドファイナルはアッパーファイナルでも戦ったともくん選手とdelta選手の再戦という形になった。
序盤はdelta選手が圧倒
前半はdelta選手が大きくリード。中盤線にもうまく対応しつつ、得意の本線による大連鎖勝負に持ち込み火力で上回っていく展開が見られた。
そのままリードを大きく広げ、点差は2-6に。このまま1試合目はdeltaが逃げ切り、2試合目に進んでいくかのように思われた。
ともくん選手の思い切った攻めで流れが変わる
しかし、2-6の状況からともくん選手の動きが一気に変わり、試合が大きく動いた。
中盤戦の対応で大きく盤面を崩して意表をついたり、delta選手の隙を突いて小連鎖での攻撃を行うなど、本線だけに頼らず思い切った攻めを見せた。
4-7からは怒涛の4連取を見せ、8-7とともくん選手がリードする形に逆転。
勢いそのままに、ともくん選手が強気な攻めの姿勢を貫き10-8で勝利を勝ち取った。
▲決勝トーナメントの最終結果はこちら!
▲TOP4に輝いた選手たち
優勝したともくん選手にインタビュー!
試合後には優勝したともくん選手への囲み取材が行われた。今回の大会の感想や、次回の大会に向けての意気込みを語ってくれている。
-今日は激戦が多く、苦しい場面からの逆転も多かったと思いますが、メンタル面で意識してトレーニングしたことなどはありますか?
ともくん選手:
トレーニングだと、理想としていた勝ち方を狙いつつプレーを磨いていました。delta選手戦などでは先に本数で負けていて、練習していたことがあまり刺さっていなかったので別の立ち回りを使用などの意識をしていました。
-技術的にも今までの大会とは違った中盤戦での競り合いが多かったように思えますが、ぷよぷよ界全体でそういった進化があるという実感はありますか?
ともくん選手:
そうですね。どんどんレベルが上がってみんな大連鎖が打てるようになっていて、本線勝負だと負けることも多いです。なので、中盤で本線を噛んでいるところを刺す動きなども練習していました。
相手によってプレーを変えたりもしています。
-グランドファイナルではdelta選手にリードを奪われてから思い切った攻めに転換し、そこが刺さっての勝利というのもあったように見えました。次のセットに持ち込むという考えもあったと思いますが、思い切り戦術を変えたのはどういった心境だったのでしょうか?
ともくん選手:
グランドファイナルは2セット目に持ち込んでしまうと、普段から練習でもプレーしている1P側ではなく2P側になってしまうので、このセットで決めたいというのがありました。
アッパーファイナルでも逆転できたし、グランドファイナルも気合いで勝とうって思ってましたね。
-直近では佐賀で「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2024 SAGA ぷよぷよ部門」が開催され、ともくん選手にとっては4連覇がかかった大会になります。そこに向けた対策と意気込みを教えてください。
ともくん選手:
(本大会の)対delta選手戦ではちょっと崩してても勝ちにいかないといけないくらい苦しかったところもあったので、後で今日のプレーを見返して、反省点を活かして来月の佐賀の国体や、来年のファイナルズに向けて仕上げていきたいと思います。
準優勝のdelta選手にインタビュー!
準優勝したdelta選手への囲み取材では、今回の大会についてや、12月に佐賀で開催される国体をどのように戦っていきたいかを語ってくれている。
-今回の大会を振り返っていかがでしたか?
delta選手:
今回はもちろん前提として、相手が強かったというのもありました。
本線の大連鎖火力で戦っていくというスタイルが自分の強みだと思っています。今回は大会前に、自分の年齢も考えるともっとシンプルにやった方がいいなと考えました。その(強みと考える)スタイルだけを考えて臨んだ方が大会では勝てるんじゃないかと思ったんです。
それを大会の2日前くらいに考えました。かなり直前ではありましたが、勝つためならチャレンジしたいという思いがあり、実際に今回の大会ではいいものを得られました。
今後はそのスタイルをもっとシンプルにして、大会で高いパフォーマンスを出せるようにしていければ成績も良くなるのかなと思っています。
-今回は調子がいいように見えましたが、ご自身でもそう思われますか?
delta選手:
そうですね、たくさん寝たのが大きかったかなと思います(笑)
-グランドファイナルでは(大連鎖勝負から)途中から中盤戦での対応の応酬へと一気に試合の展開が変化していったかなと思いましたが、その時はどう思われましたか?
delta選手:
うーん…やっかいなことはしてくるなと思いましたね(笑)
おそらくともくん選手の考えとして、本数差をつけられた段階で「このままじゃダメだ」という考えになると思います。その中で「どうすれば勝てるだろう」と思ったところで中盤戦で戦っていこうという考えになったのだろうというのを、本数差がついた段階で明確に感じました。
-試合の中では「このぷよが来れば!」というようなシーンも多かったと思いますが、そこはどう考えられていますか?
delta選手:
そうですね…極論、発火したい色のぷよが来なければ負けてしまうゲームではあるので、そこの折り合いは長年の経験の中でつけているので、「それは仕方ない、次の試合へいこう」というステップでいつもやっていますね。
たとえ発火できなくても、その試合が決まる前に自分のフィールドを見る時間があるので「(土台が失敗していた場合は)仮に発火できていてもつながっていなくて負けていたな」と考えて、別の思考に切り替えていこうという考えを持つことで助けられてもいますね。
-次は佐賀の国体がありますが、そこでは(今回敗れた)ともくん選手を意識していくのか、自分のぷよを貫くのかだとどういったマインドで挑む予定ですか?
delta選手:
今回のアッパーファイナル、グランドファイナルで自分の経験の糧となる体験ができたと思うので、相手を意識するというよりは自分のスタイルを貫きたいと思いますね。そうした方が絶対勝てると思ったので。
-ともくん選手の4連覇を止める大本命と思われている部分もあると思いますが、そのあたりのプレッシャーなどはありますか?
delta選手:
うーん…プレッシャーはないですね! ただ自分のやりたいことをやるだけなので、他の選手は関係なく、ただただ勝ちたいというだけです。
-最後に、グランドファイナルのともくん選手との試合では「楽しめた」という気持ちだったか、「勝ちたい」と緊張していたかだとどちらが強かったですか?
delta選手:
楽しかったですね!楽しかったし、「楽しんでやろう」という気持ちでいました。いろいろ考えてしまうと、そのぶん頭で考えられる量は限られてしまうので、とにかく楽しんで、盤面に集中しようと意識していました。
相手が強くて、自分のこの手を相手が返してくる…ということがすでに楽しいです。なので、自分よりも強い相手の存在は大きいですね。
12月14日(土)〜は国体が開催!
次の大会は、2024年12月14日(土)、15日(日)に佐賀県で開催される「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2024 SAGA ぷよぷよ部門」の佐賀本大会だ。
小学生の部と一般の部が行われ、ブロック代表決定戦を勝ち抜いた都道府県代表による日本一を決める決勝大会となっている。出場選手たちの活躍に期待しよう。
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ぷよぷよeスポーツの概要
(編集・執筆/はちたろう)